39話 ページ40
コツンッ
『あ……また。』
ここ最近はずっとこうだ。
学校に送り迎えしてくれるのはいいんだけど、家で一緒にいる時はよく眠たそうにしているし、なんなら今日は寝落ちてしまって、私の肩に頭が乗せられた。
隣にあったブランケットをかけて、私はそーっ…と席を立つ。
嫌なわけじゃなくて…萌えてしんどいというか、色々耐えられないというか……。
『疲れてるんだよね…いつもありがとう。』
ソファで眠る悠仁くんを、下からしゃがんで眺める。
伏せたらよくわかるまつ毛の長さとか、後ろが刈られた髪とか、全部見放題でこの時間はわりと好きだ。
『…よし、お風呂入ろう。』
「……A、」
『…ん?』
立ち上がった瞬間に名前を呼ばれて顔を覗くけど、目は伏せられたまま。
寝言……
「………す、き……」
『は………え?』
………今、なんて?
聞き返したいけど、本人は至って夢の中。
……待て待て、どんな夢を見たらそうなるんだ…!
だって…聞き間違いじゃないなら……
『A、好き……
?!?!?!』
下着もパジャマもタオルも全部持って、急いで脱衣所まで走った。
いやいや…これはただの寝言であり、悠仁くんは夢の中でそう言わざるを得なかっただけに違いないんだから…ッ
そう、だから……
『浮かれんな自分……!』
変な気を起こす前に全部洗い流して、浴槽の中で水に沈む。
そう、溺れていいのは水の中だけ。
いや、ダメだけど。
ズブズブと、恋という名の沼に溺れて抜け出せなくなる前に、私は自分の中の気持ちをちゃんと整理して……
ゴポゴポ………
「A……ッ!」
バンッ!
『…………え、』
「いた……!
よかった……消えたかと思った……ッ。」
『え、ちょ……』
「俺の知らん間に何かあったのかと思った……。
あぁ…ビビった……マジで安心した……。」
『………………変態!!!』
バシャンッ!!!
私が勢いよくかき上げた浴槽のお湯が、扉の前に立つ悠仁くんに全被りした。
な、なんで普通に扉開けてんのよ……!
「あっつぅ?!
…そういうことか!ごめんって!」
『気づくの遅い!
やめてよバカ……!』
「だって……Aが俺の横にいねぇから……」
『…。』
そこでやっと私も気づいた。
そこまで切羽詰まった顔、見たことないよ。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時