36話 ページ37
『……ん、』
香ってくるいい匂いで私は自然と目が覚めた。
ゆっくりと体を起こして目を上げれば、瞼がいつもより重たくて、昨日の出来事がぼんやりと思い出されていく。
…嫌だな、何も考えたくない。
「…あ、起きてた。
おはよー。朝ご飯出来てるよ!」
『え…あり、がとう。』
「んー?俺がやりたくてやってんだからいいんだよ。
あー…目ぇ腫れてんね。
待ってて、今ホットタオル作ってくる!」
パタパタと慌しく寝室から出て行った悠仁くんをボーッと見つめる。
…あれ、なんだか最近の悠仁くんの雰囲気とは違って、前の悠仁くんが戻ってきた感じ……だ。
何かあった…?とか色々考えているうちに悠仁くんが戻ってきて、私にホットタオルを渡した。
「……なぁ、A。」
『なに?』
「…やっぱ何でもねぇ。」
『なにそれ……わっ…なに?!』
ギュッ…と急に温かい体温に包まれて、一気に目が覚める。
私が困惑している間も、なんだかいつもと様子の違う悠仁くんが私をこれでもかと抱きしめ続ける。
やっぱり、何かあったのかな…。
「A、何かあったらすぐ俺に言って。」
『え、あ…うん?』
「伏黒でもいいから…絶対、約束な。」
『わ、かった……ねぇ、どうしたの?』
もはや心配になってくる。
私の問いかけに悠仁くんが答えることはなくて、私からパッと離れたかと思えばニッコリ笑った。
あぁ…また私はこれ以上聞けないんだ。
冷たくなりつつあるタオルを目にしばらく当てた後に、悠仁くんが作ってくれた美味しい朝ごはんを食べて、いつものように制服を着て準備をする。
さっき天気予報で雨が降りそうって言ってたから、今日は傘もいるかも。
『……えっと、どうしたの?』
いつもなら、私が靴を履いて玄関を出るまでを家の中から見送ってくれる悠仁くんが、今日はなぜか私に続いて靴を履いて一緒に出ようとしている。
あ、悠仁くんも今日は早いのかな。
「うっし、行こうぜ。」
『え…どこに?』
「どこって、Aの学校だろ?
送ってくよ。」
『あ、そっか私の学校か……
えっ?!』
「おはよ〜A…って
ついに朝活か。ごめん、邪魔したわ。」
『待て待て待て…!誤解です!』
そうだ、友達にもまさか悠仁くんと一緒に住んでるなんて言ってないから、そう思われても仕方ないか。
…でも、これはこれで悪くないかも。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時