29話 ページ30
『あの、彼女嫌がってるので離してもらえませんか?』
嘘、なんで私そんなこと言ってるの。
「あ"?」なんて怖い声に変わって男の人は私を睨み下ろす。
でも後には引けない。
私もキッと睨み返す。
「…でも、君も可愛いね。
君がこの子の代わりに俺と遊ぶ?」
『行きません。失礼します。』
「まぁ待てって。」
パシッと結構な力で後ろから腕を掴まれる。
どうしよう、面倒くさい人だ。
「あの、その手離してもらえませんか?」
その声は私たちの横からした。
聞き覚えのあるその声に顔を向けると、やっぱり無表情で、でもいつもより眉間に皺を寄せた、
『伏、黒くん……?』
「お前誰だよ。」
「…そいつの彼氏ですけど。」
圧をかけたその声に、男の人は一瞬怖気ついて「彼氏いんのかよ。」と吐き捨てるように言って、私から手を離すとどこかへ行ってしまった。
「…何やってんだよ馬鹿。」
『いや、どうして伏黒くんがここにいるの…?
じゃなくて助けてくれてありがとう。』
「あ、あの…!
助かりました…ありがとうございました。」
後ろからさっきの女性が私に頭を下げていた。
去っていく彼女の背中を眺めていれば「人助けか。」と不機嫌そうに言われる。
『怖いし、素通りするつもりだったんだけど…
体が動いてて……』
「…ったく。」
ポスンッと、伏黒くんの手が私の頭に添えられた。
あ…この感じ、懐かしい。
「……お前のその衝動的な人助けも、ほどほどにしとけよ。俺はお前が傷つく姿を見たくない。」
『あ……』
そっか、あの時も…
あれがきっかけで………
「…あれ?!伏黒じゃん!
なんでいんの?」
その明るい声が聞こえて来ると同時に、伏黒くんの手が頭から離れた。
伏黒くんは「なんだ、虎杖と一緒か。」と少しだけ表情筋を緩めた。
「俺は、狗巻先輩が一緒に映画を見に行ってくれる人がいないって言うから着いてきてるだけだ。」
「その狗巻先輩は?」
「……ずっと物販コーナーにいる。」
悠仁くんは「あ、ほんとだ。」なんて笑う。
狗巻先輩っていう人も同じ学校の人かな?
なんて呑気に考えていた。
「虎杖、お前ちゃんとAのこと守れよ。」
「………急に何だよ。」
伏黒くんは怪訝そうな顔をしていた。
そしてまた私に言うんだ。
「…何かあれば俺でもいいから言え。」
『う、うん。』
「……。」
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時