30話 ページ31
中学生の時も同じようなことがあった。
悠仁くんをなぜか放っておけなかった時のように、
傷ついて、困っている人がいて…
なぜか放っておけなかったんだ。
『ねぇ、悠仁くん聞いてる?』
「…あ、ごめん。何?」
『お昼ご飯何が食べたいか聞いてたの。』
「あー…どうしよう。」
映画館を出てから、悠仁くんが完全に上の空だ。
何かを考えているような、ボーッとしていて、聞いていいものなのか果たしてわからない。
いつもの明るさがない悠仁くんは、ちょっと喋りがけ辛い。
「Aさ、」
『うん?』
結局、美味しそうなパスタを食べに来た私達は、悠仁くんが食べる前にフォークを一度置いてこちらを向き直るところから始まる。
「俺のこと好き?」
『……急にどうしたの。』
びっ…くりした。
心臓が飛び出るかと思った。
しかも、なんで自分でそんなことを今聞くの?
求められている回答がわからない…。
でも、その真剣な表情にはきっと私に求めている答えがあるんだと思う。
『うん、好きだよ。』
「それは"友達"として?
それとも、俺を1人の"男"として?」
『………わかんない。』
……嘘だ、本当はもう気づいてる。
この質問をされた時点でこんなにも心臓がドキドキしているのは、それが答えだという証明だ。
きっと、今自分がここで認めれば今までのモヤモヤは全て自分の中にすんなり収まるんだろうなぁ…。
それでも……
『…友達、かな。』
「うん、わかった。」
私にはやっぱりこの距離感を壊す勇気が、今はない。
だから結局、自分の中でずっとモヤモヤすることになるんだろうな…。
「変なこと聞いてごめん。
これ食べたら次どこ行きてぇ?」
『うーん…そうだなぁ。』
悠仁くんはさっきとは違って、もういつも通りに戻っていた。
それでも、一度も納得したような表情を見せなかったのはなぜなんだろう。
私には悠仁くんの考えていることがわかんないや。
お店を出ると、明るかった外が雲に覆われて薄暗くなっていた。
空を見上げた瞬間、ポトッ…と、一滴の滴が私の目を掠めた。
「うっわ、雨降るとか聞いてねぇし!」
『傘無いよー…家帰る?』
「……。
そうすっか。」
『?
どこか行きたいところあるならいいんだよ?』
「大丈夫。」と言う悠仁くんだけど、さっきの間は不自然だったような気がする。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時