お誘いっすよ ページ7
.
「ジュンくんジュンくん！次のライブは少し大きいホールでのものになるね！」
「あー、そうなんすか」
「なんでも色んなアーティストや演奏者の人たちが僕達の曲をアレンジしてくれるらしいね！楽しみだね！」
「へぇ。俺らも大物になったもんっすねぇ〜」
音楽雑誌の取材と撮影の合間、特に何をするわけでもなく楽屋に備え付けられたテレビに映るお笑い番組をぼーっと眺めてた。
おひいさんは楽しそうに話しているけどあまり頭に入ってこなかった。
「おや、興味が無さそうな上に他人事だね？」
「んなことないっすよ。おひいさんはテンション高いっすね」
「なんてったってホールだからね！SS席に奥さんを招待出来るなんて嬉しいね！」
「…そっすか」
ふと頭をよぎるのはアレ、Aさんの横顔。
なんでこんなときに浮かんだのかわからないままSS席、招待という言葉だけが反芻する。
「…それ、俺も知り合いを招待していいんすか？」
＊
「いらっしゃ…やぁ、よく来たねぇジュンちゃん」
今日も制服に身を包みカウンター内でグラスを拭きあげているAさん。
いつもの席には行かず、連れ出される前にカウンター席に座るといつも通り口角を上げて首を傾げるソレ。
「あの、この日空いてるっすか？」
差し出した一枚の紙切れはおひいさんがこの間話してたホールでのライブのチケット。
それを手に取ったAさんは少し目を見開いて固まった後、またニコニコして俺を見る。
「なぁに？ジュンちゃん。もしかしてデート？」
「ちげーっすよ。俺のライブです」
「ジュンちゃんの…？」
また首を傾げて数回瞬きをし、チケットと俺を交互に見る。
その行動がなんの意味を含まれてるのかもわからなければ、少し困ったように眉を下げて口元だけ笑っている不思議な表情の意味もわからなかった。
「無理ならいいんすよ」
「…そこそこ大きなホールでのライブなんだねぇ。ジュンちゃんそんな凄い人だったんだぁ」
知らなかったなぁ、なんて言いながらカウンターに身を乗り出して両手で頬杖をつくソレはとても白々しいものだった。
つまり、この人はもう俺が何者なのかわかってる、知ってるということ。
少しだけズキッとした胸に今度は俺が首を傾げたくなった。
「…この日、予定があるんだよねぇ。でもせっかくのお誘いだから、考えさせて？」
目を伏せてまた口元だけ笑うその裏側にどんな真意があるのか。
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接久(ツグ)(プロフ) - amiさん» コメントありがとうございます！引き続き読んでもらえてとても光栄です。主=変人を心がけ追い求めながら試行錯誤して書いております(笑) これからまた更新し始めましたので今後ともよろしくお願いします！ (2018年9月1日 0時) (
レス) id: 4b172a7e6c (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - 澪@接久さんの書く作品どれも楽しく読ませていただいております！この作品…まだ完結されてはない、ですよね？ (2017年11月12日 17時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
のど飴 - とても面白かったです!!ジュンくん、尊い(´¶`)そして、夢主ちゃん奇人←これからも、頑張って下さい(´∀`)b (2017年8月21日 2時) (レス) id: 8c675f615a (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - ジュンくんが可愛いです！！更新頑張ってください！！！ (2017年8月15日 21時) (レス) id: 836cda0430 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 澪@接久さんの『おひいさんと私』から来ました！前回と同じく、面白そうな話ですね！！そして、夢主ちゃんの変人っぷり(笑)次の更新を期待しています。これからも、頑張ってください。応援しています♪ (2017年8月14日 13時) (レス) id: 3e5b4b1383 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪@接久 | 作成日時：2017年8月14日 6時
