気だるげ女と俺。【漣ジュン】

ストレスが溜まる ページ3

.


よくわからない女と友達に勝手になってしまった。



連絡先交換しよ〜なんて言われて取り上げられた携帯に登録された雪城 Aという新しい番号。



あれから一度も電話なんてないし、俺もしばらくアイドルとしての活動で店に行っていない。





あの店の娘と言っていたわりに今までなぜ会わなかったのか不思議だ。


一回生の頃に見つけてそこそこの頻度で通ってたのに、四年目にして初対面。



本当に娘か？とすら思い始めていたと同時に思い出される童貞臭いという単語。




「漣、今日めちゃくちゃ機嫌悪そうだな」

「…ほっといてほしいっす」



講義中、思い出した記憶に無意識に眉間に皺が寄る。


同じ学科の奴の誰もが近寄らない程に苛立っていた。






にも関わらず、店に来ている俺はバカか。




「いらっしゃっせ〜。おひとり様ですね？私のお席へどうぞぉ〜」

「待て待て待て待て」




入った瞬間出迎えたのはこの苛立ちの原因。



まだ二度目の再会にして軽々しく腕を引くこの人はなんなんだ。




「今日かーさんいないから私が店主」

「そっすか。じゃあアイスコーヒーで」

「はいよぉ〜シロップは何個？三つ？」

「んな甘党に見えるんすか？」




店内には俺とこの人しかいない。


地獄だとすら思える。



しかしこの店の娘というだけあって手際良く作られたアイスコーヒー。

いつもブラックで飲むそれは少しだけ甘かった。




「俺はいっつもブラックなんすけど？」

「いーじゃんたまには。甘い物摂ると疲れも少しはマシになんじゃない？」




当たり前かのように向かい側に座って両手で頬杖をついてるけど、俺はそこに座ってくれと頼んでない。


他の客が来てもこうなるわけか？




「他の客は来ないから安心しな？店の前に休業って書いてあるから」

「なんでわかったんすか。ていうか休業なら帰りますよ」

「いいんだよ気にしなくて。私の相手しておくれよ、友達でしょ？」

「なった覚えねぇんすけど」



どうしてこうも顔が綺麗な人は中身がおかしいのか。


良い例に挙げたあの黄緑頭を思い出して盛大なため息が出る。




「おやおや、大きなため息だねぇ。幸せが逃げるよぉ？」

「…別にいいっすよ」

「ジュンちゃんは捻くれ者だねぇ〜？遅くに訪れた反抗期かな？」




バカみたいにニヤニヤ笑いながら俺の顔を覗き込むその人の頬を思わず抓る。


痛い！と言いながらも笑ってられるのが不思議だ。



…ゆっくりさせてくれ。

ほっといてくれよ→←店の娘

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す