店の娘 ページ2
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「んん?お客…?」
「おはようございます。まだ寝てていいっすよ。俺違うとこ行くんで」
寝起きでボサボサになった髪をかきあげながら体を起こして座ったその人はおひいさんよりも白い肌だったのが印象的だった。
テーブルに置いてある氷の溶けきった水を飲み干してその人は向かい側の席を指差す。
「座りなよ。ここしか空いてないっしょ?」
「いや…相席するほどのもんじゃないんで」
「客でしょ?気にしないで」
いやいや、気にするから。
なんて俺の気も知らずににっこり笑うその人は男なのか女なのかわからない中性的な顔つきだった。
どちらにせよ、とても綺麗な顔だった。
でも俺は知ってる。
綺麗な顔の人は大体変わったやつってこと。
(例:巴 日和)
「はぁ…お邪魔します」
「うんうん、聞き分けのイイコだね!」
「…そっすか」
何も頼んでないのに運ばれてきたアイスコーヒー。
店主のおばさんはちらりと相席しているその人を見てため息をついた。
「A、アンタねぇ…お客さんに迷惑かけるんじゃないよ」
「わぁーってるって。それより私、クリームソーダがいい」
「自分で作りな。すみませんねぇ、うちの子が」
「はぁ…」
頭を下げて戻っていくおばさんを見つめた後、向かい側に座るその人を見る。
何故か機嫌が良さそうなその人は窓の外をじっと眺めた後、俺に視線を戻した。
「私、ここの店の娘のAってんだ。アンタは?」
「…漣 ジュンっす」
「漣?へぇ、変わった名字だねぇ。でも顔は完全にジュンって顔してるよ」
「…そっすか」
「ねぇ、ジュンちゃんは大学生?その前髪、邪魔じゃない?」
必要以上に絡んでくるその人───Aさんは両手で頬杖をつきながらニコニコと俺を見る。
俺の名前を聞いても何一つ反応がない人なんて、いつぶりに見ただろう。
「なんなんすか。ほっといてくださいよ」
「あれ、君すごく綺麗な目をしてるなぁ。顔も整ってるのに、彼女がいないなんてもったいない」
「は?俺のこと知ってるんすか?」
「んーん?知るわけないじゃん。初対面よ?なんとなく、童貞臭い顔してんなーっつって」
第一印象はいちいち癇に障る奴で決定した。
イライラしながらもアイスコーヒーを飲んで携帯をいじりだす俺をまだAさんはニコニコしながら見ていた。
「ねぇ、仲良くしてよ。私友達いないからさ、友達になってよ」
あぁ、それは納得。
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接久(ツグ)(プロフ) - amiさん» コメントありがとうございます!引き続き読んでもらえてとても光栄です。主=変人を心がけ追い求めながら試行錯誤して書いております(笑) これからまた更新し始めましたので今後ともよろしくお願いします! (2018年9月1日 0時) (レス) id: 4b172a7e6c (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - 澪@接久さんの書く作品どれも楽しく読ませていただいております!この作品…まだ完結されてはない、ですよね? (2017年11月12日 17時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
のど飴 - とても面白かったです!!ジュンくん、尊い(´¶`)そして、夢主ちゃん奇人←これからも、頑張って下さい(´∀`)b (2017年8月21日 2時) (レス) id: 8c675f615a (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - ジュンくんが可愛いです!!更新頑張ってください!!! (2017年8月15日 21時) (レス) id: 836cda0430 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 澪@接久さんの『おひいさんと私』から来ました!前回と同じく、面白そうな話ですね!!そして、夢主ちゃんの変人っぷり(笑)次の更新を期待しています。これからも、頑張ってください。応援しています♪ (2017年8月14日 13時) (レス) id: 3e5b4b1383 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪@接久 | 作成日時:2017年8月14日 6時