【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

子狐と衣装。 ページ18

｢なんで隠すんだ！もう少し眺めさせろ！｣

｢眺めさせろってなんですか。見世物じゃないです｣


Aを見せろと騒ぐサタンと、ガードする鬼灯。

二人の攻防に最早リリス達は呆れていた。


｢折角の尻尾と耳があるのに勿体ない！

第一貴様もいつも自分好みの格好させてんだろ！｣

｢何言ってるんですか。そんな事するわけないでしょ！

Aさんはたまにしか和服を着てくれないから逆にレア感があって良いんですよ！！｣


鬼灯の発言に

｢お前は和服が好みなのか｣と少し興味を持つサタン。


｢好みというより、なかなか見れる光景じゃないので

『あ、珍しい』って少し気分も上がるんです｣

｢私は珍獣か何かですか…｣


｢後、私が似合うと思って選んだ物を着てもらえた時は妙な達成感と満足感もあるんですよ｣

｢あ、わかる｣

徐々に会話が弾みだす鬼灯とサタンから

Aは嫌な予感がしてそっと離れていく。


｢どっちがあの子に似合う服を選べるか勝負だ｣

｢臨む所ですよ。Aさん……あれ？｣


いつの間にかいなくなっているAに頭を傾げる鬼灯。

傍にいたリリスが

｢もう仕事に戻ったわよ｣

と教えてあげたのだった。









数日後、閻魔殿へサタンからA宛に沢山の荷物が届いた。

荷物と一緒に入っているサタンからの手紙には

早めの結婚祝いであると記されている。


｢うわあ…洋風のドレスが沢山。

いつ着るんだこれ……｣

｢相変わらずの貢がれ体質ですね｣


荷物の中にサタンから鬼灯宛の物も混じっており、

中を確認すると和、洋、中のそれぞれのデザインのメイド服が入っていた。


『以前ベルゼブブから貴様がメイド服に感心があると聞いていたので送ります』


メイド服を広げてみた鬼灯はジッとAを見て視線で訴えかける。

｢着ませんよ？絶対着ませんからね！？｣



着ました。





✱おまけ✱

会う度にメイド服の事を言われたAはついに根負けして鬼灯の部屋にてメイド服姿を披露。

洋風のメイド服を着たAはロングスカートを揺らし、やる気のない顔をしている。


｢ミニスカートじゃなくてロングなのがまた良いですね｣

｢鬼灯様が楽しそうで嬉しいです｣


なんだか楽しそうな鬼灯の姿にまあいいかという気持ちになったAは

｢…明日は着物で出勤しようかな｣

という呟きに鬼灯はそれを聞き逃さなかった。


｢一度は私に見せに来て下さい｣

｢はーい｣


貴方が喜ぶのなら。

狐と鬼と鬼狩り。壱 コラボ番外編→←子狐とサタン様は初対面です。

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