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子狐と地獄フェスティバル。後篇 ページ16

人の波は更に激しくなり、Aは進むのが困難になってきた。

「なんでこんなに人が凄いんですか…!」

「恐らくあれでしょうね」

鬼灯が差す先にはこれから行われる人気アーティストのステージを案内する看板。
 
夜も近づき、有名アーティストのステージが増えてきてそれに合わせて会場の人口も増えているのだ。


「わっ!わっ!鬼灯様!」

流されてはぐれそうになったAを鬼灯が腕を掴んで引き戻し、

少し休憩しようと道の脇へと寄った。


「疲れました…」

「にしても凄い人ですね」

人の熱気で暑くなったAは手でパタパタと顔を煽ぎ、

ビールの屋台が見えないだろうかと鬼灯に背を向けた。

髪を纏めたAのうなじから首にかけて汗が一粒流れ落ちていく。

それを凝視する鬼灯の口は牙をむいて開いた。



ゾクッ


一瞬寒気がしたAは勢いよく背後を振り返ると

鬼灯が「どうしました?」といつもと変わらぬ様子で立っている。


「い、いえ…」



今、一瞬だけ狩られるような視線を感じたような…



気のせいだったのだろうと思い、

アヤメ達に事情をメールで説明しながら

人の波が落ちつかないだろうかと願った。









自分の口元を抑える鬼灯の手はグッと力が入り、

ゆっくりと頭が下がって目元へと移動した。









「おまたせ〜!」

ようやくビールと焼鳥を手に入れたAと鬼灯は皆の所へと合流することが出来た。


「たっぷり時間かかったんだから手くらい繋いだでしょ?」

「もう。大変だったんだからそんな余裕ないよ」

「面白くないの〜」

アヤメ、A、梅子の会話に「うっそ!手も繋いだことないの!?」と甜瓜も入り


「そうなんですよー!」

「うるさい!」

焼鳥を食べながらキャッキャと騒ぐ。

そんな様子をお香達も焼鳥を食べながら微笑ましそうに眺めていた。


「若いわね〜」

つくねを食べていたお香やシロ達も梅子達に呼ばれ「はーい」と近づいていき、楽しそうに会話に華を咲かせた。




「お前。結婚までAに手出さねぇの?」

男だけになり、突然の烏頭の下世話な質問に蓬は「そういうのは自由だろ」と

幼馴染の身の心配をして止めようとした。


「Aはお前がある程度の一線を越えようとしない事を分かってるだろうし、それに合わせてんじゃねぇの?

案外気にしてるかもしれないぜ」


「…そういう所はちゃんとしたいんですよ」


汗が伝う後ろ首とAの笑顔が頭にチラついた。

子狐とサタン様は初対面です。→←子狐と地獄フェスティバル。中篇



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(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます。アニメすごく面白いですよね。漫画もオススメです。無理しないように頑張ります。 (2020年9月8日 2時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 最近Abemaで鬼灯を見始めてからハマってます(笑)応援してます!鈴さんのペースで更新頑張ってくださいね。 (2020年9月4日 18時) (レス) id: f7821a3b7d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 櫻駄ミズキさん» コメントありがとうございます。頑張ります! (2020年9月2日 7時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻駄ミズキ(プロフ) - めっちゃ好きです…!!応援してます(о´∀`о) (2020年9月1日 17時) (レス) id: 441661fb12 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - レノン・リーシュナさん» コメントありがとうございます。両作品とも拝見した事のない作品なので、検討という形にさせて頂きます。すみませんでした。 (2020年9月1日 7時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月27日 0時

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