【鬼灯の冷徹】子狐こんこん弐

子狐の不自然な様子。 ページ44

いつもと変わらぬ朝…

ではなく、その日はAは妙にソワソワとしながら身支度をする。

その様子を見ていた白澤はいつものように二日酔いにグッタリしながらも不思議に思っていた。

「…こんちゃん、今日はやけに気合入ってるね」

「え…っと…今日は久しぶりに友達とお出かけするから」

白澤は怪しむように真っ直ぐAの目を見つめ、

その視線に耐え切れなくなったAの目は少しずつ横に反れていく。


「A、時間いいのか？」

そこへ掃除をしていた桃太郎は時間のことを指摘すると、

Aはそろそろ待ち合わせ場所に向かわないと遅れてしまうことに気づいた。

「わあ！いってきます！」

慌てて出かけて行ったAを見送り、桃太郎が再び掃除を再開しようとした時…



「あれは絶っっっ対にデートだ！！」



突然大声を出した白澤に桃太郎は驚いてその場に転んだ。

「デートって…友達と出かけるって言ってたじゃないすか」

「何千何万と女の子とデートした僕が断言する。あの様子は絶対にデートだ

　気合の入った装いにあの落ち着きのなさ…絶対にデートだよ！

　何千何万とデートした僕が言うんだ！！」

「何で２回言った…そして妙な説得力がある…」


白澤は顎に手を添えて相手は誰かと考え込む。

「職場の人間…？もしくは顔見知り…」

「二日酔いはいいんすか」

「こんちゃんの非常事態だよ。二日酔いなんて吹き飛んだ」

「あんまり詮索しないほうがいいんじゃないすか？

　年頃なんだからデートするなんてこっ恥ずかしくて家族には言えないっすよ

下手したらまた口きいてくれなくなりますよ」

口をきいてくれなくなる。その言葉に白澤は一緒言葉に詰まるが、すぐに「でも！」と言い訳を始めた。

「変な軽い男に遊んでポイされたらどうするの！？」

「それまんまアンタじゃん…」

「失礼な。僕は本気で遊んでる」

「本気だからなんなんだよ！軽い遊び人には変わりねえから！！

　大体、Aは白澤様見て育ってるから異性を見る目は案外堅実っすよ」

Aの異性を見る目に信頼はしている桃太郎たが
やはり少し気になる。
　
しかし、デートだとしても相手って誰なんだ？

と今までの顔見知りの男性を思い浮かべていく。

そんな中、白澤と正反対である鬼灯の顔が浮かび上がった。

「…デートの相手ってまさか…」

すぐにそれはないかと思い直す。


第一鬼灯が相手にするはずない。

桃太郎は自分の考えに笑いが出たのだった。

子狐、映画を観ます。→←子狐が気になるリリスさん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す