子狐、映画を観ます。 ページ45
「鬼灯様、おまたせしました」
なんとか約束の時間の少し前に待ち合わせ場所に着いたAは双子の童子と手を繋いでいる鬼灯の所へと駆け寄った。
「いえ、私達も先程着いたばかりなので」
「Aとお出かけ久しぶり」
「楽しみ」
鬼灯に映画に誘ってもらえ、喜んだAも座敷童子達もいるのは想定済みで、
むしろ2人だけだと緊張してしまうのでありがたいとさえ思う。
「ポップコーン食べたい」
「キャラメル味」
映画館に着き、始まるまで少し時間がありそうなので売店でドリンクやポップコーンを買い、
ショーケースに展示されている映画のグッズなどをチェックする。
「グッズの幅広さには毎回感心します」
「沢山あって迷いますよね」
「そういえば、今日は公開初日でこの映画館限定でピーチ・マキさんの舞台挨拶もあるんですよ」
「それで今日やけにピーチ・マキさんのファンらしき人が多いんですね」
映画上映の時間が近づき、館内放送とスタッフにより劇場に案内され、
4人はチケットに表示されている席を探す。
双子が鬼灯の両サイドの席に座るが、Aの隣に座る二子の前の席に座った客が背が高い為、画面が見えづらくなってしまった。
「見えづらい…鬼灯様、席代わって」
「仕方ないですね」
二子と鬼灯が席を入れ替え、隣へと座った鬼灯に
Aは改めて緊張してしまう。
「…映画に集中できるだろうか…」
と心配したAたが、映画の内容はとても面白くて引き込まれてしまう。
物語の中盤で涙が零れたAは鞄からハンカチを取り出そうとするが、中には何処にも入っておらず
そこで自分が朝身なりばかり気にしてハンカチを鞄に入れる事を忘れていたのに気づいた。
「これ使って下さい」
隣から鬼灯が小声でAにハンカチを差し出した。
「そんな。悪いです」
「でも拭くものがないでしょう。使いなさい」
鬼灯からハンカチを受け取ったAは涙を拭くが、ハンカチからする鬼灯の匂いに涙は完全に引っ込んでしまった。
「ハンカチは洗って返します」
「別に気にしませんよ」
映画の後、そんなやり取りをしながら劇場を出たが、出口とは違う道に行こうとする鬼灯にAは不思議に思った。
「そっちは違いますよ?」
「先程舞台挨拶していたピーチ・マキさんに挨拶に行くんですよ。
こちらも金魚草大使の件でお世話になってますし
Aもよろしければご一緒に」
と誘われ、Aも後に続いた。
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2018年3月7日 0時