子狐お母さんが気になります。後編 ページ11
「まあ、鬼灯様ですか。こんなに近くで見たのは初めてですわ」
「白澤様も噂で聞く以上のイイ男だわ」
女性二人とお酒を飲みながら会話をする白澤と鬼灯。
その間に襟巻きのフリをしていたAは狐の姿のまま部屋からこっそり抜け出した。
部屋を出たAは母親と同じ匂いを探す。
「あっちだ!」
Aはその匂いを感じた部屋へと入ると…
「え…」
その部屋には洗濯機と部屋いっぱいに着物が干されていて、全部から同じ匂いする。
「【懐かしい森のにおいの柔軟剤】これがにおいの原でしょうね」
白澤を置いて抜け出してきた鬼灯が洗濯機の横の柔軟剤を手に取った。
「この柔軟剤、今山の中や森の中出身の者たちに人気なんですよね。
まだ山の中で普通の獣だった時に嗅いだ懐かしい匂いがすると…」
「帰りましょう。桃タローさんが待ってますよ」
狐姿のAを抱き上げた鬼灯は部屋を出て出口に向かって歩く。
「酷なことを言いますが、Aさんの母親はこの世界にはいないかもしれません。
現世で新しい命として生活している可能性が高いです」
鬼灯の着物の胸元には雫が数滴落ちていた。
夜、Aが寝た後に食卓で白澤と鬼灯はお茶をすする。
「あの柔軟剤は人気でかなり使ってる方もいますし。
それに…死んだ動物はすぐに転生することがほとんどです。
あの世にいるのはよっぽどの大罪を犯したか、現世に相当なトラウマや憎しみを感じているか、
転生をする気がないか、生まれつき妖怪の者がほとんどで大体の動物は転生をしてしまいます。
先程調べたんですが、Aさんの母親が亡くなったと思われる時期に転生を希望しなかった狐の記録はありませんでした」
「まあ可哀想だけど、真実を知らないとこんちゃんもずっとあの店の近くをウロウロしてただろうしね」
「ということでこれからもよろしくお願いしますお母さん!!あとお茶お代わりください!!」
「僕もお茶おかわりお母さん!!」
寝室に行こうとした所で湯のみを差し出す二人に引き止められた桃太郎。
「とりあえずもう夜遅いんで帰ってくれませんか!?
あと、お茶は自分で入れてください!!」
初めは森の中で兄弟と母と戯れていた。
しかし気がつくと暖かい日が入るいつものお店で桃太郎と白澤、うさぎに囲まれていた。
薬草と漢方と土の匂い。
眠っているAの表情から笑みがこぼれた。
「んふふ…」
今のわたしの家族
ヒーローと迷子ちゃん前編*コラボ番外編*→←子狐お母さんが気になります。中編
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2018年3月7日 0時