【最強メガシンカ】世界でいちばん頑張っている君に 〜〜3rd Sensation〜〜 【ポケモンXY特別編】

言いたいことは、言えなくて ページ29

【アラン視点】

……Aがダイゴさんに、バトルに誘われた。

俺は彼らの話の輪の中に入ることができず、ずっと病室に入れないまま、突っ立っていた。

約3メートル先にいるAの笑顔が胸に深く突き刺さった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マノン、ダイゴさんの順に病室から飛び出してきた。

少し遅れて、Aも飛び出してきた。
その表情は、すごく幸せそうで。

「……A！」

耐えきれずに声をかけてしまった。

「ほぇ？」

「あ、その……バトル、するんだってな。ダイゴ、さんと……。頑張れよ」

本当に言いたいことは、言えなくて。

「もっちろんです！ だってチャンピオンだった人ですよ！ これは頑張るしかないですって！」

きっと、お前ならあの人を驚かせる戦いができる。
あの人も、お前を驚かせる戦いをするはず。

その瞬間を見たくないんだ。

「……ああ。行ってこい」

「え？ アランは来ないんですか？」

意外そうに俺を見上げるA。

「俺は、やることができたからな……」

とっさに出た言葉は、嘘で。

「そうですか。じゃあ後で報告しますね。善戦できるよう、頑張りますっ！」

無邪気に外へ向かうAの背中をただ見ていた。




「アラン」

不意に後ろから声をかけられ、急いで振り向くと、フラダリ代表の姿が。

「代表……なにか用ですか」

「マノン君が目を覚ましたようだな」

そうだ。代表にまだ伝えていなかった。

「はい。報告が遅れてすみません」

「どうやら、Aという子が活躍してくれたのだとか」

どこから知ったのだろうか。代表の情報網はあなどれない。

「はい。俺の……仲間です」

さすがに代表に向かって『恋人』とは言えなかった。

「それなら君に頼みたいことがある」

「なんですか？」

代表には恩がある。もちろん断るわけにはいかない。

俺はどんな内容だって受け入れる覚悟をした。

「その子を、私に渡してくれないか」

「……はい？」

冗談じゃない。なんでAを……。
さっきの覚悟を訂正する。これはさすがに受け入れられない。

「新人トレーナーであるその子のポケモンが、原因不明のマノン君の昏睡状態を解いたのだ。
その子にはきっと、ポケモンの強さをひきだす特別な力がある。それを研究したいのだ」

「……」

断るつもりだったのに、口が動かない。

「その子を研究した暁には、最強になる力が解明できる。君にとっても悪くない話だろう」

「……っ！」

すまん、A。俺は……。

最強のトレーナーとの戦い→←想定外の誘い

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