想定外の誘い ページ28
「こ、心の準備ってものがね……っ!」
「なんの準備だい?」
突然後ろから聞こえた爽やかな声。
振り向くと、ダイゴさんが戻ってきていた。
「あ、なんでもないです……あはは……」
私は大げさに手を振ってできるだけ動揺を隠す。
マノンちゃんが横でにんまりしているけど、気にしない方向で……!
「それより、ダイゴさんはアランと何を話してたのですか?」
とっさに話題を逸らす。
「……いろいろ、かな」
言葉を濁したということは、やっぱりあんまり良くないことなのかも。
「そうだ、Aちゃん。僕とバトルしないかい?」
「ほぇぁ?」
想定外の誘いに間の抜けた声を出してしまった。
「君がマノンを目覚めさせてくれたおかげで、見舞いをする分の時間が余ったからね。
アランから君の強さは聞いているんだ。嫌というのなら仕方ないけど」
『元』とはいえ、チャンピオンの誘いに嫌なんて言えない。言いたくもない。言えるわけがない。
「本当に私でよければ……!」
ダイゴさんは笑顔を見せて、また扉に近寄った。
「ありがとう。それじゃあ早速外に出よう。マノンも来る?」
「もちろん! あたしもAの戦ってるところ見たいもん!」
ということで、私はモンスターボールが入ったバッグを急いで身に着け、先に行ったダイゴさんとマノンちゃんの後を追って、病室をあとにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……A!」
病室から出てすぐ、誰かに呼び止められた。この声は、アランだろう。
「ほぇ?」
駈け出そうとした足を止めて、向き直る。
「あ、その……バトル、するんだってな。ダイゴ、さんと……。頑張れよ」
不器用だけど、応援してくれるアラン。
彼のちょっと暗い表情に疑問を感じながら、笑顔で答える。
「もっちろんです! だってチャンピオンだった人ですよ! これは頑張るしかないですって!」
「……ああ。行ってこい」
「え? アランは来ないんですか?」
そうだとしたら、ちょっとショック。折角ツドキも進化して、燃える戦いになると思ったのに。
アランに見て欲しかったのに。
「俺は、やることができたからな……」
目を逸らしながら、険しい顔をするアラン。様子が変かも……?
「そうですか。じゃあ後で報告しますね。善戦できるよう、頑張りますっ!」
アランの様子が気になるけど、今私にできることはダイゴさんに勝って、アランを驚かせて喜ばせること!
そう言い聞かせて、私は病院の外に向かって走りだした。
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時