コイバナ ページ27
――『じゃあ僕がAちゃんと恋人関係になっても、君は何とも思わないんだね』
――『君が躊躇している間にAちゃんが君から離れていくことだって、あるかもしれないということは覚えておきなよ』
頭の中が彼の言葉で埋め尽くされる。
嫉妬。
俺は、嫉妬しているのか。
Aは彼に褒められて、嬉しそうな表情を見せていた。
Aの嬉しそうに笑う顔は好きだけど、今回ばかりは全然いい気分になんてなれなかった。
これを嫉妬と言わずに何と言うだろう。
絶対にあの人にAを渡したくない。
そんな思いがふつふつと湧き上がるのを感じた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【A視点】
ダイゴさんとアランが病室から出て行ってしまった。
一体何を話しているのか気になったけど、あの二人の表情から、あんまりいい話じゃないだろうなと想像がついたから盗み聞きはしなかった。
「ダイゴさん、どうしたんだろうね」
マノンちゃんが扉に向かって問いかける。
「きっとすぐ帰ってくるだろうから、私たちもちょっと話して待ってようか」
マノンちゃんが私に向き直り、大きくうなずいた。
「じゃあさ、あたし、ずっと聞きたかったんだけど……」
「何?」
マノンちゃんは満面の笑みでこう言い放つ。
「Aってアランのこと好きなの?」
ほぎゃぁぁぁうぇぇぇ!!??
危うく叫びそうになったけど、口に手を当てて何とかこらえた。
「ど、ど、ど、どうしてそうなるの……っ!!?」
叫びはしなかったけど、動揺は十分伝わっちゃったっぽい。
「もうさ〜。二人とも分かりやすいんだよ〜。アランもAも、オーラ全開なんだよね」
「うぐ……」
隠そうとしてても、分かっちゃうものなのかなぁ。
「アランもさ、Aのためにジュース買ってきてたのに、まだ渡せてないんだもん。きっとどうやって渡せばいいのか悩んじゃってるんだよね〜」
「え、そうなの?」
全然気づかなかったけど、もしかしてマノンちゃんのジュースを買うときに、私の分も買ってくれたのかな。
「お互い好きなんだから、付き合っちゃえば?」
マノンちゃんがしたり顔でささやく。
「ま、まだ早いって……」
私の答えに、マノンちゃんはつまんなそうな顔をしながら反論する。
「早いっていっても……確かに歳の差はあるけどさ。でも世の中には、20代と40代の夫婦もいるみたいだし、それに比べればアランとAは近い方だよ」
ぐうの音も出なかった。
確かにそうだけど……。
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時