ツインテール ページ19
「もう、約束忘れたんですか? 『他の結び方も見たい』って言ったのはアラン、あなたじゃないですか」
アランははっとして、何かを考えるそぶりを見せた。きっとどんな髪型にするか考えているのだろう。
「あたしは、Aにはおろした方が似合うと思うけどな〜」
マノンちゃんが私のクセのある髪の毛をじっと見て言った。
「長い髪に憧れるんだよね〜。あたしも伸ばしてるんだけどさ」
マノンちゃんは後ろでちょこんと1つ結びをしている。マノンちゃんの髪は、おろしてもだいたい肩甲骨の下の部分に達するか達しないかの長さだ。
「……ツインテール」
やっとアランが決めてくれた。
ツインテか〜。王道だなぁ。ポニテよりは手間かかるけど、やってあげようじゃないの。
バッグからもう1つ同じシュシュを取り出し、髪を2つに分けて束ねる。まずは低い位置から。
「どうです? 比較的、大人っぽい感じのはずです。もっと高い方がいいですか?」
アランは審査をするような目で私を見る。
「うーん。悪いわけじゃないけど……。もう少し高くしてくれ」
要望通り、少し高くして、耳の高さで結びなおす。
「これでどう?」
「……もっと高い位置で頼む」
アラン、目が怖いくらい本気になってる……。
「……アラン、あたしの髪型には何も注文つけないくせに」
隣のマノンちゃんがぼそっとこぼした言葉を、聞き逃せなかった。
そうだよね。折角マノンちゃんが元気になったのに、私のことばっかりで、ごめんね……。
アランも、マノンちゃんだって女の子なんだから、気を使ってあげてよ。
そうは思っても、アランの眼差しが怖いので、とにかく要望に応える。
「ここですか? ちょっと子供っぽいですかね……?」
「いや、いい。それが見たかったんだ。いや、もう、最高だ……!」
あからさまにテンションが高くなったアラン。大丈夫? クールキャラどこ行ったの?
目を輝かせるアランをよそに、私はツインテールを解いた。
「お、おいA……」
きっと、もう少しツインテールのままでいて欲しいと言いたいのだろう。わかってるよ。
「ダメです。だって、ずっと私のことばっかりで、マノンちゃんがつまんなそうですもの。
折角マノンちゃんが元気になったんですから、マノンちゃんも気にかけてくださいよ。
……本気出すときにまた結びますから」
「そうだよアラン。もっといっぱい話したいことあるんだよ……」
マノンちゃんが目を潤ませて、アランを見つめる。
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時