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お姫様抱っこ ページ11

お姫様抱っこされたまま、受付へと向かう。

「……すまん。もっと早く気づくべきだったな」

頭上から聞こえるアランの声。

「気にしないでいいんですよ。私、今こうやってアランの温かみを感じられて……嬉しいですから」

「そ、そうか……」

露骨に目を逸らすアラン。照れ隠し、だろうか。


気まずい空気のまま、気づけば受付に着いていた。

「少しだけ、ここで待っててくれないか」

「はい……」

私は受付に備えられたソファーに降ろされた。

アランは自動販売機へ向かい、マノンちゃんへのジュースを買った。

背もたれにもたれかかると、それまであまり感じていなかった疲労感がどっときた。
身体が重い。鈍い痛みが全体に広がる。頭がぼんやりする。まぶたが重い。
無意識に目を閉じてしまった。


「………A?」

誰か、呼んだ? お風呂場みたいに、声がはっきり聞こえないの。

「……おいAっ!」

重いまぶたをゆっくり開く。私を呼んだのは、アランだったらしい。

「ずいぶんと辛そうだな……」

「……そんなこと……ない、って言ったら、嘘になりますね……」

笑顔を作ったつもりだったけど、余計に心配させてしまったようだ。

「もういい。もう喋らなくていいんだ。ちゃんと休め」

もう一度アランに抱きかかえられて、マノンちゃんのところに戻る。


アランの腕の中は心地よい温かさで。それにアランの歩行による微振動が相乗して、さらに眠くなってくる。

「アラン……寝ちゃっても……いい……?」

吐息を漏らしながら、問いかける。

「あ、ああ……」

その言葉を合図に、まぶたを閉じる。
最後に見たのは、赤に染まったアランの頬だった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【アラン視点】

Aが寝不足だということに、もっと早く気づいてやればよかった。

受付のソファーにもたれかかっているあいつの表情は、疲労感丸出しで。

速やかに自動販売機でジュース2本を買うと、あいつのもとに駆け寄った。

「お待たせ、A。……A?」

あいつの反応はない。まさか……っ。

「おいAっ!」

Aはやっと、ゆっくりまぶたを開けてくれた。よかった、意識はあるみたいだ。

「ずいぶんと辛そうだな……」

「……そんなこと……ない、って言ったら、嘘になりますね……」

きっとあいつは笑顔を作ろうとしたのだろうが、苦笑いになっていた。
その姿が痛々しくて、見ているこっちも辛くなりそうだった。

理性が→←涙の感覚



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設定タグ:ポケモンXY , 最強メガシンカ , アラン   
作品ジャンル:アニメ
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時

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