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涙の感覚 ページ10

アランの言葉で、話してしまおうと決心がついた。

ショックを受けさせちゃうかもしれないのは、怖いけど。アランを信じることにした。

「私……見たんです。マノンちゃんのハリマロンを。
研究施設みたいなところの、紫色の液体が入ったカプセルに入れられていて。
それで……フラダリさんが、『実験』って言ってハリマロンに何か力を加えていて。
ハリマロン、とっても辛そうでした。なのにフラダリさんは無表情で、やめようとしなかったんです。
その光景が怖くて。フラダリさんはもしかしたら、悪い人なんじゃないかなって……」

足を前に出すスピードがだんだん遅くなっていく。アランはそんな私に合わせてくれた。

「そうか。怖かったんだな。だからあんなに急いで、恐怖を紛らわそうとしたのか。
でも大丈夫だ。フラダリさんは悪い人じゃない。きっと何か考えがあるんだ。
……だから、泣くのやめろよ」

「……え?」

一旦足を止めた。そっと手を頬にあてると、確かに涙の感覚があった。

気付かないうちに、泣いてたらしい。

「私……泣いてたんだ……。なんで気づかなかったんだろ……バカだな……」

笑顔を作ろうとして。でも、ダメで。

「A……」

「本当に大丈夫ですよね……? フラダリさん、悪い人じゃないですよね……?
騙されてなんて、いませんよね……?」

震える体は、今にも倒れそうで。

「心配するな。大丈夫だ。大丈夫」

「そう、ですよね……。あっ……」

作り笑顔を浮かべて、再度足を踏み出そうとするが、よろめく足が身体のバランスを崩した。

「Aっ!」

身体が地につく前に、アランが受け止めてくれた。

「…………」

「おい、お前……」

「ふふっ……気づかれちゃったみたいですね……」

アランの視線は一点に集中していた。

私の、目。

「まさか、お前、寝てないのか?」

「……はい」

私の目には、くまが現れていた。

昨日の夜、眠ろうとして眠れなくて。
深夜にカノンタウンを抜け出して、ここに来て。
マノンちゃんのためにスキャットを歌って。
日が昇って、フラダリさんの「実験」を目撃して。

一睡もしてなかった。それに加え、あの光景を見た恐怖もある。倒れるのは当然だろう。

「とにかくお前は休め。俺が抱えてやるから」

「大丈夫ですよ……」

そうは言っても、身体は正直で。

「っ……」

1人で歩こうとしたけど、またバランスを崩した。

「ほら、無理するな。……よっと」

結局お姫様抱っこしてもらうことに。

お姫様抱っこ→←葛藤



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設定タグ:ポケモンXY , 最強メガシンカ , アラン   
作品ジャンル:アニメ
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時

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