[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃氷鷹北斗 ページ5

.





昔から「Aは奥手だよね」って言われていた。


でも確かに。そう思ってしまう。



小学生の頃、初恋をした。

相手はクラスの中心的人物で、かっこよくて。

足も速くて皆に人気で。


私なんか視界にすら入らないと思ってた。


けど彼は優しいもんだからたくさん話してくれて。

告白するタイミングなんて周りの子以上に
あったはずなのに、しなかった。




中学生で２回目の恋をした。

彼は小学生に恋した相手とはあまり似てなくて、
いつも勉強してるいわゆるがり勉タイプ。

みんな「暗い」「陰気」「真面目バカ」って
言うけれど私は彼が本当は心の温かい
優しい人だと知ってしまった。



けれどやはり言えなかった。






そして今。



私はクラスのリーダーである、彼に恋をしている。


多分こんなに誰かを好きになったことはないって
言うくらいに彼が好きだ。



名前を言うだけでも恥ずかしい。



真面目だけど、優しくて、

なんでも一生懸命で。


転校して何もわからなかった私に
たくさん教えてくれて、支えてくれた。


しかも友達まで紹介してくれた。



彼のお陰でこの高校が充実出来てると
いっても過言ではない。




そんな彼にお礼を言うので精一杯な私。




『やっぱ、奥手かも…』

「なにがだ？」

『うわぁっ？！氷鷹くん？！』




頬杖をついて唸っていたら、
突然氷鷹君が私の前に立ちはだかった。


人を見て叫んでしまうなんて、なんて失礼なっ…





「あぁすまない。驚かせてしまった」

『そんな…私こそ叫んでごめんね』

「いや、気にしてない」





氷鷹君はにっこりと笑う。


あぁ、この優しさに惚れたんだなぁ。




私はまた氷鷹君を好きになる。







『…えと、それよりどうしたの？
なにか私に話が…』

「…いや。何か考えてるようだったから
相談相手になればと思ってだな」








相談相手…？





そっか。…やっぱ優しいなぁ。









『…それじゃぁ、相談にのってもらってもいい？』








優しい彼は頷くと私の隣の席にそっと座った。









.

＃2→←＃2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す