[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃2 ページ12

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『ありがとうございました…』


私の駅でおじさんと一緒に降りてくれた

少年はさっきの怖い顔と真反対に変わって

にぱっと無邪気な笑みを浮かべた。



「んーん！それよりお姉さんこそ大丈夫？」

『うん…言われるまで気づかなかった』

「そーなんだ！警戒心ないね〜」

『君はサラッと失礼だよね』



うひひっと肩を揺らしながら彼は笑う。

なんか思ってたのとちがかったなぁ。


凄く明るくて、元気な男の子って感じ。




『あ、ねぇ今度お礼させて』

「ん？気にしなくていいよ…って思ったけど
俺もお姉さんと話したいからおねがいします！」

『う、うん』

「お姉さん、何歳？」

『今月で16才』

「え？じゃぁ俺と同い年じゃん！」

『そうなんだ』

「うん！」




名前教えて




私が言う前に彼が口を開いた。






「俺、葵ひなた。夢ノ咲学園一年生！
よろしくね」




すっと彼の右手が私の前に来る。





こういうのを平然とやってしまうなんて、

やっぱり彼は只者じゃない。



けど。









『柚木Aです。

よろしくね、ひなた君』









君には負けるかもしれないけれど、


私だって只者じゃないんだから。








あまり人には自慢しないけど、


言ったら彼はびっくりするでしょ…









しかし、またもや彼に遮られてしまった。









「知ってるよ、俺。新聞とか雑誌で見た。

水泳で全国大会優勝したんでしょ。

すごいね」








びっくりした。


普通、みんな知らないことを彼は平然と

覚えててくれた。






うわ、嬉しいかも…








そっと彼の右手を握るとひなた君は

満面の笑みを浮かべてぶんぶん繋いだ

手を振ってくる。








「よろしく、Aさん！」









ひなた君はひまわりのよう。



ぱっと私を明るくさせてくれる。








駅に入ってきた風が、



柔らかそうな彼の髪を撫でていく。









鳥たちがようやく起きたような、

とある日の朝の駅で。







私はひなた君に恋をしました。









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《少女漫画系女子×ひまわり系男子》









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