∇『過去』 ページ41
初めは訳が分からなかった。
ただ、いつもの達平君じゃないことだけが
分かってひたすら怖い。
なんとか腕を振って達平君を突き飛ばす。
あ「……はっ、…はぁ…た、達平君……」
達平「…」
我に帰って達平君を見ると達平君は
ものすごく辛そうな顔でぎゅっと唇を噛んでいた。
そして、無言で病室を飛び出した。
暫くたってようやく達平君を突き飛ばした
手首に激しい痛みが襲う。
うっと手首を抑えていた痛みを我慢していると
病室に誰かが入れ替わりで入ってきた。
真「A!!」
「A!アンタって子はほんとに…!!」
あ「お兄ちゃん、お母さん…」
真「大丈夫か?!なんでそんな…」
久しぶりに揃った顔。
どちらも真っ青な顔をしてお母さんなんか
珍しく目に涙を溜めちゃって。
私は抱きついてきたお兄ちゃんの胸のなかで思い切り泣いた。
久しぶりに大泣きした。
体中痛かったからかな。
達平君を突き飛ばした自分が許せなかったからかな。
未来ちゃんがほんとは怖かったのかな。
それともただ、寂しかったのかな。
私の泣き声は止まることなく、
夜の病室に響き渡り続けた。
_____それから2ヶ月。
私の怪我完治した頃にはもう進級したあとだった。
学校は高校もくっついてたから
エスカレーター式で上がれたんだけど
どうやら私は完全にクラスで浮いてるようで。
未来ちゃんは他のクラスらしいけど、
多分あの時近くにいた女の子達が変な噂を
流したらしい。
どういうわけか私を可哀想な目でみてくる人が多くなった。
大方、未来ちゃんが私を妬んで階段から突き飛ばしたーとか
そんなところだろう。
強ち間違ってはいないが
いい気分はしなかった。
そして、達平君はと言うと。
達平「A先輩!一緒に昼飯食いましょ!」
あ「…達平君、ここ他学年の校舎」
まるで病室での出来事を忘れたかのようなこの調子に。
むろん、その方がいいんだけどね。
でもやっぱりあの出来事は忘れられなくて
未だに根に持ってる私は以前よりも彼を冷たく
扱うようになってしまった。
達平「A先輩高校生になっちゃってからもう校舎めちゃくちゃ遠いし!
会うのにどれだけ苦労するか…!!」
あ「はいはい。早く帰ってね」
達平「A先輩ぃー!」
相変わらず一人の弁当。
だけど少しだけ、平和が戻った気がした。
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里小翔(プロフ) - ミュア☆ミュアさん» 本当ですか!なんだかやりきった感あります笑笑番外編がんばります!! (2015年7月30日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
ミュア☆ミュア(プロフ) - 過去編の話泣きそうになりました。番外編の話もがんばって下さいね! (2015年7月30日 21時) (レス) id: 7d2b816aaa (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - いちごパフェさん» ありがとうございます!過去編泣きそうなんですか?!笑笑泣くかは分からないですけど主人公とクラスメイトとの関係が書けたらいいなぁと思ってるので!!(笑)コメントありがとうございました(*^▽^*) (2015年7月30日 15時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
いちごパフェ(プロフ) - 続きが気になります( ´ ω ` )過去編、泣きそうです… (2015年7月30日 9時) (レス) id: c194704685 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 桜姫さん» ありがとうございます!合宿ならばとお風呂シーンを入らさせてもらいました!応援ありがとうございます!頑張ります! (2015年7月29日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:里小翔 | 作成日時:2015年6月23日 21時