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・中也視点
マフィアに戻って来れば、戻った瞬間に俺が送った渡瀬の写真を見せながら「中也!!何これ!!渡瀬君とご飯に行ったの!?」と太宰に詰め寄られて、此奴本当に渡瀬に懐いてんなとしみじみ思った。
「此の間の礼だよ。丁度渡瀬も今日都合良くて飯に連れてったんだ。」
「えええええ羨ましい……私がご飯行こうって行ったら絶対渡瀬君遠慮する…」
「先ず手前は高級包丁送るからだろ。誘っても遠慮されるだろうな」
「げえ。渡瀬君から聞いたの?」
此れが太宰治という人間の年相応の姿なのかは分からないが、少なくとも渡瀬の前ではマフィアの顔を出さない様に努力している時点で、此奴にとっては渡瀬はお気に入りか、或いは気に掛けている存在ではあるのだろう。
「私だって私のお金で渡瀬君お腹いっぱいにさせたい」
「彼奴は一般人メンタルだから高級品なんてビビるぞ。俺のバイクに乗ってても落ち着かなかったからな」
「は〜〜〜〜??ご飯まで行った挙句、中也と一緒に?バイクに?乗ったの??中也絶対許さない……死ねば良いのに」
「手前が死ね」
「嗚呼、でも渡瀬君と一緒にリムジンに乗って目ん玉剥くほど高い高級料亭に連れて行って、渡瀬君の反応見るのも楽しそう」
「最低かよ!!彼奴絶対チワワみたいに震えるのがオチだぞ!!」
「見たい」
「最低かよ!!!!(2回目)」
渡瀬、お前本当に厄介な奴に気に入られたな。
心の中で心底渡瀬に同情しながらも、俺も俺で彼奴のことは特に嫌いではないから、太宰に対して実際は何も云えない。
「ねえ、私達位の年頃の男友達って、一体どういう付き合いをしているのだろうね」
「……知るかよ」
此奴とは相棒で、友達ですらない。寧ろ互いに毛嫌いしている犬猿の仲。
そして渡瀬とは、友達とも言い難い、何とも言えない関係だ。
俺たちは正体も何も明かさず、得体の知れない人間と、唯の一般人が一緒に居る歪な関係。
「……どれくらいの距離感なのだろう。私の頭脳でも、分からないよ。友達は居るけれど、皆年上だもの。同年代なんて、分からないよ」
此れでも渡瀬との距離を測りかねて居る太宰のその言葉に、此奴が言葉にはしなくても、太宰の云いたい事は何となくわかった。
同年代の友達なんていない。どういった感じで本当は接すれば良いのか、分からない。
………友達になりたい。
きっと、渡瀬に一番そう思ってるであろう太宰を横目に、マフィアと一般人が隔てる壁は大きいのだと、そう思った。
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時