32羽 ページ34
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「お、とったね。えらーい。ちょっと取りやすすぎたかな?……でも、こっちのチャンスボールなんだよね。」
目の上に手をあて、上空にあるボールを見上げながら言う及川。相手のチャンスボールになってしまったことに、月島は悔しそうな顔でクソッ、と言葉を漏らした。
「ほら、美味しい美味しいチャンスボールだ。きっちり決めなよ、お前ら。」
そのボールを及川がレシーブで拾い、2年生セッターである矢巾のもとへ飛んでいく。烏野のメンバーはきつく身構えた。
「金田一!」
矢巾があげた先は金田一だった。完全にブロックをふりきって金田一は飛ぶ。
「(上手いな……流石に青城の1年生スタメンは伊達じゃないな。)」
Aも、スパイカーである金田一も……その場に居た誰もが決まると確信した。――しかし、そんなスパイクに喰らいついて手をのばす小さな体のオレンジ頭。
「日向……!?」
白鳥沢のマネージャーとして様々な展開を見てきたAですらこれは全くもって想像していなかった。完璧にかわされたと思われたスパイクに、日向は手をあてたのだ。
「あがった!」
「ナイスワンタッチ!」
「チャンスボール!!」
慌てて烏野が攻撃の態勢を整える。ラスト1点を決めるために皆が気合の入った面持ちでいた。
「くそっ、今度は俺が叩き落としてやるよ!」
金田一の言葉に耳も向けず、すぐに日向は反対方向に突っ走る。そのスピードは恐ろしいものであった。そんな規格外の日向のスピードに追い付けるのは――"天才"影山のあげるトスのみ。
日向のスパイクは及川の真横を通って、反応を許すこと無く決まった。
普段小動物のような日向のスパイクを打つ瞬間の目は小動物を狩る者のようで。及川でさえも寒気がする程その迫力。ベンチから見ていたAも鳥肌を立て、すぐに面白いものを見るように笑った。
ホイッスルの音と共に、烏野の勝利が告げられた。
「何時見てもすごいねえ……。」
Aの顔は歓喜と興奮に満ちていた。普段感情をあまり表に出さない彼女からは想像もできない人間らしい表情だ。そうさせる力が日向と影山にはある。――この変人コンビなら、もしかするかもしれない。
・
「アイツ何処行ったの……。」
影山にアドバイスをしたいAは影山を探して歩き回っていた。すると「謝ったりすんなよ!」という声が聞こえてきた。声のしたほうにいけば、影山と金田一が向かい合う現場に遭遇した。
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刹那(プロフ) - 疑問なのですが5羽の端麗ナ容姿は誤字では無いですか? (2020年5月15日 15時) (レス) id: 9ed63526ef (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 由華理さん» 本当ですか!ありがとうございます!!ご期待に添えられるように頑張ります! あっ、ほんとですね…(゜Д゜) み、見なかったことに((( すみません!今から直したら全話直さないといけないので、目をつぶってください…! (2016年9月30日 19時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
由華理 - 質問なのですが、17羽が二つあるのはなぜてすか? (2016年9月29日 21時) (レス) id: 06d67bc150 (このIDを非表示/違反報告)
由華理 - いつも作品見ています!これからも更新頑張ってください! (2016年9月29日 21時) (レス) id: 06d67bc150 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 七瀬 蒼さん» ご指摘ありがとうございます!直してきます:(゜ω゜): 面白いですか!?よかったです・・・!応援ありがとうございます!ご期待に沿えるよう頑張ります! (元 花宮幸ヤです!) (2016年8月13日 15時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2015年5月9日 16時