行方不明14 ページ15
_A side_(少し戻ります)
握手会が終わったあと、居候先の巴家に帰った。使用人や日和の両親が俺に「おかえりなさい」と優しい声をかける。
借りている部屋に着くと、きっとどの部屋より素朴だと実感した。元々揃っていた家具と、日和やジュンが俺にくれたものくらいしか置いていない。
何故か、今日はそれが寂しく思えた。零兄ちゃんや凛月、真緒に会ったせいか?わかんないけど、なにか辛い。
……そうだ、俺の物がないんだ。一応十数年自分のものに囲まれて育ったから…。それでも納得しないけど、それはきっとここにないせいだと自分に言い聞かせて、日和に連絡をした。
すると、帰ってくると行ってきた。わざわざ車を出してくれるそうだ。ジュンも来るらしい。
──
2人が来ると、直ぐに車を出してくれた。そして来たのは俺の……否、朔間家。日和達には少しだけ待ってもらうことにした。
どうせ帰ってきても、歓迎なんてされない。わかってるのに……なんで零兄ちゃんも、凛月も真緒も、俺に期待させるようなことを言ったんだ。
鍵で家を開けると、リビングから父が飛び出してきた。上の方で見えないけれど、零兄ちゃんや凛月が顔を覗かせている気がする。
すると父は「不法侵入だぞ」と言ってきた。元々この家に住んでたんだけどな…。そんな言葉は飲み込んで、黙って家に上がろうとすると
朔間父「お前は家族じゃない。そんな紛い物を家に入れるわけないだろ。早く出ていけ」
と言った。……別に、期待はしていない。昔からこれだったから、別になんとも思わない。なのに……息がしずらくなった。
それすら無視して家に上がりこもうとすると、リビングから母が包丁を持って来た。その刃は確実に俺の方を向いている。
朔間母「で、出ていきなさい!」
震える手で、怯えた顔で包丁を突き出す。……………先程まで痛かった場所や、考えていたこと全てが一瞬で消えたような気がした。
バキッ
と音を立てて。
俺は何も考えずに刃を向ける母に近付いた。それと同時に家に上がることが出来たからいいだろう。父も止めなかったから。
母は俺が包丁に刺さりそうになると後ろに退いた。怯えているようにも見えたが、特に俺には関係ない。やる事やって早く行かなければ。
A「……もう帰ってきて欲しくないだろ。なら止めんな」
自分でも少し驚きそうになるほど冷たい声で母に言い放ち、階段を上った。
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ルナ(自称天才☆)(プロフ) - わかりました!みてみますね! (2022年8月20日 14時) (レス) id: 2c52dd1a0d (このIDを非表示/違反報告)
死柄木朧(プロフ) - ルナ(自称天才☆)さん» 一応続編で夏目くん書いてみましたがご覧になられましたか?でしたら感想とか改善点をお願いします。夏目くんストーリーで見たことないので口調が…。ご協力お願いします (2022年8月19日 21時) (レス) id: d2d08f032a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(自称天才☆)(プロフ) - は〜い!ありがとございます! (2022年8月18日 21時) (レス) id: 2c52dd1a0d (このIDを非表示/違反報告)
死柄木朧(プロフ) - ルナ(自称天才☆)さん» リクエストありがとうございます!まだ出てないですね!ごめんなさい!続編で出させていただきます!また何かあったらどんどんリクエストなどください! (2022年8月18日 8時) (レス) id: d2d08f032a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(自称天才☆)(プロフ) - こちらこそありがとうございます!リクエストなんですけど、出てたかわかんないですけど...なんかとりあえず推しが夏目なのでswitchとの交流が見たいです!よければよろしくお願いします!長文失礼しました〜 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 2c52dd1a0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名F | 作成日時:2022年8月2日 14時