34.急展開 ページ7
.
.
女の子達から？
.
.
「な、なんですか？それ」
「沖田さんって、ほら可愛いしかっこいいから
女の子に人気なんですよ
.
それでバレンタインとか誕生日とかは
女の子達がこぞってやってくるんです」
.
…へぇ
.
.
「やっぱり、モテるんですね、彼」
「ほんとはそんなに興味ないらしいんですよ
でもまぁ土方さんの暗殺計画に利用できるかって考えたらしくて、
お菓子やらぬいぐるみやらのプレゼントを
女の子達からもらうようになったんです」
「最低ですね」
「今年は一切もらわなくて」
「へー」
.
「『好きな人がいるんでさァ』って」
「……」
.
.
「『俺の好きな人は多分俺のことが好きなんだけど
素直になってくれないから
今その人を振りまかせるのに必死なんでィ
ここまで人を好きになったのは初めてだし、
プレゼントはその人からしか欲しくないんでさァ』
って言ってましたよ
…たしか、こんな感じ。似てます？」
沖田さんの顔マネやら声真似やらをして
ケラケラと笑っているゆきちゃん…
.
.
.
沖田さん………
.
.
.
「あれは絶対本気の顔でしたよー」
「…なんでそんなのわかるの」
「女の勘です！」
「女の勘って…」
.
.
でも沖田さん、私のことを思って…
.
.
.
「素敵な人じゃないですか、沖田さん」
「…」
「沖田さんのどこがだめなんですか？」
「…だ、だめっていうか、
たしかに、優しい時はあるけれど
でもかといって私の気持ちは好きとは違うと思うし…」
「好きじゃないんですか？」
「そ、そうよ」
「…ふーん
ま、それならそれでいいですけど
私的に。」
.
.
.
.
ん？
.
.
.
.
「…ゆきちゃん？」
.
.
.
「あ、言い忘れてました。
.
私、沖田さんのことずっと好きだったんですよー」
.
人懐っこい笑顔を私に向けて
お互い目を合わせる。
静寂の中で聞こえるのは
私の胸の鼓動だけ。
夜の暗い空から一筋の雨が降り
それに続いて音を立てながら地面を濡らしていく。
.
.
.
初めて知った。
彼女の笑顔は怖いということ。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：毒りんごちゃん | 作成日時：2017年3月27日 9時
