38.蛍の話 ページ11
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「はぁぁぁ…」
とりあえず廊下に出て外をぼんやりと眺める
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私はいつもいつもこーやって
チャンスを与えられても逃げてしまう
だからだめなんだな、私。
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告白って、ゆきちゃん
どんな風にするんだろう
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あんな明るくて積極的な女の子に生まれたかった
こんなひねくれた人間になりたくなかった
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1人で反省しながら縁側に座っている
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夏の風物詩の蛍が無数に飛び交っていて
いつもはそれ程興味もないのに
なんだかすごく、惹かれるものがあった
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「…きれー…」
「ほんと、綺麗ですねィ」
「…え?」
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声のした方を見た。
暗い影で隠れていてよく見えないけれど
はっきりわかる
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沖田さんだった
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どうしよう、すごく嬉しい
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「…ふふっ」
「あ、Aさん壊れた」
「違いますよ、全く…
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いや、振り返ると、いつも沖田さんがいるなって
しみじみ思っちゃったんです」
「そりゃあ、
Aさんを追い続けてるからでさァ」
「…っ…そ、そうですか」
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話、続けなきゃ
今、今なのかしら
告白って
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「あ、あの…わt「知ってやす?」
「…え?」
「蛍って、なんで光るのか」
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蛍…?
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「いいえ…?」
「蛍って相手を敵だと思うと光るらしいんでィ」
「へぇ」
「Aさんみてぇ」
「ちょっとこら」
「あともう一つ」
「?」
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「求愛行動でさァ
好きな女に対して光るんでィ」
「…」
「似てやすね」
「え?」
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「俺とあんたに、そっくりでさァ
蛍って。」
蛍は、私達に似てる…?
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「ほら、あのずっと光ってる奴
あれたぶん俺でさァ
んで、あの無愛想なのがAさん」
「わかりませんそんなの」
「あんたそっくりでさァ」
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「に、似てませんよ…」
蛍と全然、似てない。
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「だって、私は……」
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作者名:毒りんごちゃん | 作成日時:2017年3月27日 9時