~番外編~ はじめまして沖田隊長 ページ1
.
.
「何やってるんですかあなたって人は」
「だって、雨弱かったし」
「大雨なのに傘持たないなんて
風邪引くにきまってるじゃないですか」
「…」
.
.
今俺は、熱を出して、布団の中にこもっている
景色がぼやぼやして
大好きなAさんの顔でさえ
あまり見えなくてイライラする
.
.
「…ぁあ…Aさん…
俺、もう、だめですかねィ…」
「何言ってんですか
寝てたら治りますよ
.
はい、タオル変えますね」
俺の額に乗ってた白いタオルをとって
桶に入った水に浸し再び額に戻す
.
「ぬるくないですか?大丈夫ですか?」
「……デジャブ…」
「え?」
「……や、なんでも…」
「…はぁ……?」
.
.
あれ…
こんな事、前にも言われたような
.
.
.
『ぬるくないですか?
大丈夫ですか?』
.
.
.
あぁ…そうだ、思い出した
.
.
.
「………なつ、かしい…ですねィ…」
「…?」
.
.
.
.
はじめてAさんに会った日も
雨だった
.
今日よりはまだ弱い雨で
他に違う事といえば
Aさんはもっと、雰囲気が固かった
.
.
.
.
『土方さーん、タバスコ買って来やしたー』
いつもと同じ様に土方に嫌がらせをしようとして
楽しみに帰ってきた雨の日
.
傘を畳みながら靴を脱いで
暗い屯所の廊下を歩いていた
.
.
『お!総悟!帰ってきたのか!』
『近藤さん、土方さんってど……こ…』
.
.
近藤さんの後ろには、見た事のない女がいた
.
.
『紹介しよう!Aさんだ
今日から女中としてここで働いてもらう』
『よろしくお願いします』
初めて会った時の彼は、
爽やかだけど、無表情で、正直怖かった。
.
『…お願い、します』
はじめて会った時のAさんは、
綺麗だけど、厳しそうで、正直苦手だった。
.
.
.
ただその時俺が思った事は、
その時わたしが思ったのは、
.
.
.
関わりたくない、という一心だった。
.
.
104人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:毒りんごちゃん | 作成日時:2017年3月27日 9時