【刀剣乱舞】ふるべ ゆらゆらと

貮 ページ3

「A、いい加減学校行け」

「……」


お決まりの小言をもらう。

自分が悪いし、何も言えないからとにかくパパを見つめているだけだ。

不登校児の私は今年で中学3年になった。中2前半からの不登校で、中2の最後辺りは不登校児が行く教室に行ってた。
と言っても通っている中学の教室の一角をそれ用に使っていただけだから同級生、上・下級生にも会うことも。それがたまらなく嫌だったわけだが。

3年になって普通に教室に行き出したものの、今でもたまに休んでしまう。
ちなみにサボりだ。

まあ、今は薬研のことがあるからもう少し休むつもりだけど。
友達からメールが毎日のように届くのが難点かもしれない。
数人から来るし、そのやりとりのどれもがすぐに終わらないから……。


「…仕事は？」

「休みだ」


アッヤバい。

…はあ、今日は昨日のパンを食べてもらうしかないなぁ……。

階段を上りながら一日の計画を立てる。
何もない一日だからすぐに終わるけど。


「薬研、体調は？」


昨日取り付けたホームセンターで買った簡易な鍵を閉めながらたずねる。

〔だいじょうぶだ〕

薬研はひらがなで私のノートにそう書いた。


「うそ、薬研字が書けなかったはずじゃ……」

〔たいしょうのいちねんせいのきょうかしょでべんきょうした〕


その字は拙く、読み取りにくかったけど確かにそう書いてある。

薬研は寝る、と言っても警戒して熟睡は出来ないようだった。
多分、夜中目が覚めてそのまま寝ることが出来なくてたまたま開いた本が私の小学1年生のときの教科書だったんだと思う。
あ、い、う、え、お、の文字は知っているみたいだった。
五十音の順番も知ってたんだろう。

ただ一つ、私は薬研の主じゃない。
でも、まあそれは今は置いとこう。


「へえ、すごい…！やっぱ賢いんだね」


そう言ってつい頭を撫でるとちらちらと桜の花びらが舞った。

…どこから出たんだ。

……可愛いからいっか。

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