【刀剣乱舞】ふるべ ゆらゆらと

弎 ページ4

「ちょ、……大丈夫ですか？」


声をかけた途端左腕に痛みが走る。


「っ……こん野郎っ！」

「……っ」


私が声を荒げると腕に傷をつけた本人はそれはもう酷く怯えた表情で浅く息をする。

これは、助けた方がいいのか？

変な正義感に駆られた私は自分よりほんの少し背が低い男の子を家に入れてしまう。


「って〜……これ大丈夫かな？」


おそるおそる見た腕は案外傷は浅くてほっとする。
慣れない傷でもう痛覚がマヒしたのか痛くない。全然痛くない。
そういえば前にガラス踏んずけて足血まみれにしたときも痛くなかったな……。

うーん…とりあえずタオルで抑えてれば……いいのかな。

まあ、それよりも。


「…あの、名前、言える……？」

「……」

「……や、……げ？、ん？」


彼の口はそう、ゆっくりと動いた。


・

・

・


「ふーん…なるほどねぇ」


スマホをいじりながらつぶやく。

今調べてるのは、って言うか薬研を拾った日から調べてるのは薬研の正体。
まあ、正体と言うよりは彼が何処から来たのか。

知恵袋で質問するとすぐに回答がきて彼が薬研藤四郎、刀剣男士だとわかった。

そして薬研がブラック本丸、と言う所から逃げて来たのではと絶賛考え中。


「薬研、今日はご飯用意出来なくて昨日のパンだけになっちゃうんだ。ごめんね」

〔べつにいいぜぱんとやらにもきょうみがあるしな。ありがとう〕


さて、私はまだ薬研がいた本丸を通報出来てない。

その本丸のナンバーがわからないからだ。

本丸は本丸ナンバーとやらがないと特定出来ないらしく、そこの審神者が薬研を必死で追いかけて来なかったのも薬研が本丸ナンバーを知らない、または覚えてない。
もし知ってて覚えてたとしても薬研は喋れないから問題ない。

…そう判断したからだと思う。


「どうしたものかなぁ……」

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