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3話 ページ3

『あ、あの…』

「えっと…取り敢えずそんなとこ居ったら風邪引きますよ?」

私も出たいのはやまやまだが足が痛くて立てない。事情を説明する前にイケメン泣きぼくろサンバイザーが

「ほら」

と、手を差し出す。私は反射的に手を握った。

「立てます?」

ギュッと手を握って体を持ち上げる。

『っつ!』

途端に痛みを増す左足。

『す、すいません…立てないです』

どうしようか。雷蔵さんを呼んできてもらおうかな。

謎に雷蔵さんを信頼して尊敬している私はそう、言いかけた。

『あの、ら』

「…立てへんのか、せやったら俺おぶりましょか?」

『いぞう…えっ』

「いぞう?」

『あっいぞうは気にしないでください!』

おぶるなんて言われるとは思わなかった。最近のイケメンは態度までイケメンなのか。

『いやでもそんな悪いですし…』

「え、でも立てへんのでしょ?もしかしたら折れてるかもしれませんやん」

『おっ折れ…?』

そこまで考えてなかった。捻挫かな?ぐらいだったし。

『でも私すっごく重いですよ!?』

「いやなんの念押しやねん」

イケメン泣きぼくろサンバイザーさんはふっと吹き出す。

「俺そない貧弱に見えます?」

『いやそういうつもりじゃ…』

「なら、しのごの言わずおぶられてください」

『………すみません』

断っても無駄そうだったので渋々おぶられる。

背中は意外にガシッとしてて貧弱なんて言葉とはかけ離れていた。

『おっ重くないですか?!』

「いやめっちゃ軽いですやん。ちゃんと食べたはります?」

『実は…あ、あんまり…』

最近はラボにこもりっきりで全然食べてなかった。

エンジニアってこういうことあるから、極端に太るか痩せるかの二択なんだよね…私は肉付きやすいから太るかと思いきや、一旦何かに熱中すると全くと言って良い程食べなかったりするし…体重の変動が激しいや。

「えーっと、どこ行ったらええんやろ」

『あ、じゃあラボに』

「いやまずは医務室やろ」

『あ、そうでした』

鬼怒田さんに資料室の事報告するしか頭になかった。

『なんかすみません』

「いえいえ」

イケメン泣きぼくろサンバイザーさんはそう言って人が良さそうに笑った。

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なや - 隠岐君!男前で、かっこいいです。 (2022年3月31日 12時) (レス) @page8 id: 8cf2aca477 (このIDを非表示/違反報告)
なや - 隠岐君!男前で、かっこいいです。 (2022年3月31日 12時) (レス) @page8 id: 8cf2aca477 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結心 | 作成日時:2019年7月6日 6時

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