35話 ページ36
その後、ここを見つけた例の3年の先輩2人が、あわてて先生に携帯の使用許可を出してもらいにいった。
だいぶ混乱しているA先輩のために、保護者を呼ぶために。
赤司っちはオレが練習に遅れることを虹村センパイに伝えに行ってくれた。
つまり、ピロティにはオレとA先輩だけ。
「…先輩、ブレザー…」
「あ、ありがと…」
震えた声でお礼を言いながら、A先輩はオレからブレザーを受け取る。
座り込んでしまったまま動かないので、オレは先輩のそばに座った。
「…どうして、言ってくれなかったんスか?」
「え?」
「先輩達に聞いたッス。…オレのせいで、嫌がらせされてたんでしょ、A先輩」
「そんな、黄瀬くんのせいじゃないよ。家に誘ったのは私だから」
にこりと先輩が微笑む。
それが逆にオレの心臓に刺さった。
「後輩に迷惑をかけるわけにはいかないから。
私も一応、執行部の人間だし…私なんかのために面倒事が起きたら、全中にも影響があるかと思って」
そう言う先輩に、オレはぎゅっと唇を噛む。
そして、思わずキツイ言葉を投げかけてしまった。
「…あんなことされて泣き寝入りするなんて、間違ってる…!
嫌がらせされて黙ってるなんて、そんなの、自己犠牲を気取ってるだけッス!」
「そうだね。私がそうしたかっただけ。ほんとは黄瀬くんに何も知られたくなかった。
そう、自己満足、かな。エゴとも言えるかもしれない」
だけど彼女は少し哀しそうな微笑みのまま、そう答えた。
そうか、とオレは気づいた。先輩は、オレを『黄瀬涼太』と捉えてはくれていない。
『バスケ部の黄瀬』、『モデルの黄瀬』、『後輩の黄瀬』としか、見ていない。
だから、本当の意味で頼ってはくれないんだ。
一人の男として、見ていないから。
「どうして、ッスか……?」
「え?」
呟いて、オレは先輩の肩を少し強く引き寄せた。
ふわりと香る甘い匂い。
……そして、気づけばオレは、A先輩にキスをしていた。
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さにー☆彡(プロフ) - 鈴香さん» ありがとうございます!続編も書けたら書きたいとは思っているのでその時はよろしくお願いします! (2019年10月2日 20時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
鈴香(プロフ) - とてもキュンキュンさせて頂きました!!面白かったです!続編楽しみにしてますね (2019年10月2日 20時) (レス) id: 433bf9ff90 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - あまくろさん» あらま!ありがとうございます!! (2017年6月10日 6時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
あまくろ - とても面白いですね!それから、9話の緑間っちが、緑町っちになっていました... (2017年6月9日 21時) (レス) id: d3b08ce942 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - さにー☆彡さん» 時間旅行も海常編の続編も楽しみにしてます!! (2017年4月11日 11時) (レス) id: 5e68c6ec4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2016年12月7日 21時