8話 ページ12
嵐の次の日の昼下がり
神社の近くの村は、嵐が過ぎ去り、雨で洗われた蒼い空の下、人々がお互いを助け合い、壊れた家をみんなで建て直したり、荒れた畑を耕し直すという普通の生活を取り戻そうと頑張っていた
狐はそんな村を回っては、自身のお賽銭箱に入れられたお金を家が壊れてしまった村人達の傍にこっそりと置いていった
次の村は無残にも身寄りのない子供を人身御供という名で亡きものにしている村
気は進まないが、村の"大勢"が人身御供をしているのであって、限られた極小数の人達は反対していることも狐は知っているので立ち寄らずには居られなかった
この村はいつも空気が悪い。
嵐の過ぎ去った次の日で快晴だと言うのに、まるで今にも降り出しそうな黒い雲に覆われているかのように空気が重苦しく暗かった
そんな村に今日もヒソヒソと噂が立ち込める
.......どうやら昨日の嵐の日に人身御供が贈られたようだ
よくよく聴くとあの蛇神のいる泉に女の子が捨てられたらしい。
「よりにもよってまた泉ちゃんの.......」
少女の生きている見込みはもう少ないだろう。
そうは思うも、山奥にある泉に足を運ばずには居れなかった。
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作者名:ゆなり | 作成日時:2019年6月4日 22時