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May.42 ページ5

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「これが今回の楽譜だよぉ」





そう言って、凛月が私の背丈に合わせてしゃがみこんで、楽譜を見せてきた。今、凛月の頭は私より低い。





「ありがとう」

「……Aだよね…?」





信じられないけど、という顔をしながら小声で聞いてくる凛月にはもう嘘をつくのは無理だし、難しいだろう。こくん、とうなづけば、「まじか」と彼はこぼした。





頭を抱えては「まあ、Aならピアノは合わせやすいけどさ…」と呟き、「なんで、小さくなってる訳?」と聞いてきた。




「…たぶん、夏目くんのせいかと…」

「あー…、納得は出来ないけど納得したってことにしとくわ」






「詳しくは聞かない」と判断した凛月は正しい気がする。こんなことは現実にはありえないことなのだから。














「始めまーす」




監督さんの言葉で、一気に現場の雰囲気が変わる。キリッとした空気感に違和感しかない。何台ものカメラに囲まれることも、自分がテレビに出ることも初めてだ。






〜♪〜〜♪





凛月の伴奏から入り、そこに私も合わせていく。練習なしでできるはずがない、ってみんな思ってるかもしれないけど、私と凛月は高校の時ずっと一緒に弾いてきたわけだから合わせることなんてたやすい。




凛月の癖、私の癖、そんなものはお互いに分かりきっているのだから。
















「……」




審査員席には、2人がピアノを弾いている姿を、頬杖をついて無言のまま見つめる月永レオがいた。







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作者名:玲咲 | 作成日時:2021年5月1日 0時

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