episode.87 ページ42
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「二度も同じこと、繰り返すな!!
俺の時と同じことをするな!今、Aに必要なのは俺でも薫さんでもなくて兄者なんだよ!必要な時にそばに居てあげないなんて、最悪だよ、兄者!タイミングを見誤らないで!」
目を大きく見開いた零くんは、「すまん」と一言告げた。
「ありがとう、凛月。また道を踏み間違えるところだった。俺にあと1日だけ時間をくれるか?全てを終わらせてくる。」
そう言って凛月くんの間から抜けた零くんは、
「薫、晃牙、アドニス。迷惑をかけるが、許してくれるか?」
と頭を下げた。この時からきっと決意していたんだろう。俺の腕の中で眠っているAちゃんの涙はいつの間にか止まっていて、気持ちよさそうに眠っていた。
「うん、いいよ。めいっぱい迷惑かけてよ、零くん。Aちゃんを幸せにしてあげて」
「ああ」
「もう少しだけ待ってておくれ」とAちゃんの頭を撫でた零くんは、「ちょいと電話してくる」と部屋を出ていった。
さすがは朔間零というか、その後の流れはすごく早かった。一日で、先回しにできる決まっていたお仕事を全て終わらせ、無理なものは丁重にキャンセルをして、そして、その日の夜に『無期限活動休止』を発表した。
時間の猶予もなく、かつ記者会見も行わなかったから、ネットは荒れに荒れた。「零様がいないなんて嫌だ」「UNDEADどうなっちゃうの!?」「零くん、帰ってきてよ〜〜泣」みたいなツイートが沢山溢れかえった。
形式として、俺たちのライブで3人で「朔間零の活動休止」を発表した。本当の理由は言えなかったけれど。ずっと応援してくれていたファンに全然誠実な対応じゃなかったし、不安にさせて、さらに荒れに荒れた。
だけれど、零くんがAちゃんが幸せになれるならそれはそれで良いかなとも思えた。
それから、零くんは子育てに奮闘して、2人で一緒に生きてきた。
小学校の入学式では号泣して、初めての運動会では腕によりをかけてお弁当を作って、応援して、二分の一成人式でAちゃんから貰ったお手紙でまた号泣して、その手紙を俺たちに嫌という程自慢してきて。
時間が流れるにつれて、寂しさを顔に出さなくなった零くんは、本当にAちゃんと2人で幸せそうだった。俺もそんな2人を見るのが楽しくて、ついついこの親子に手を焼いちゃうんだけど、それもまた良い家族の形だと思うんだ。
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時