episode.82 ページ36
.
今日はイギリスのロンドンにやってきた。
風景も日本と違くて、新鮮な感じがして気持ちが良かった。
有名なフィッシュアンドチップスを食べて、お腹がふくれた所で、次はどこに行こうか、と話していた。
「…あれ、Aちゃん?」
突然呼ばれた名前。胸がドキンとなった。
それは、聞いたことのある声だった。
「か、薫さん…」
そこに居たのは紛れもなく、薫さんで。目を大きく見開いた薫さんは、「Aちゃん、だよね?」ともう一度聞いてきた。
私は何も言葉が出なくて。会いたくない、どうしてここにいるの?なんて言葉が頭を占めていた。
「ちょっとぉ、何ちんたらしてる訳ぇ?………ってかおくん?」
私が遅かったからか、私を呼びに来てくれた瑞希は、薫さんが目の前にいることに驚いているようだった。
「瑞希くんまで!どうしてこんな所にいるの!?ここまで2人で来たの!?誰かに連れてこられたの!?何もされてない!?ご飯は食べれてるの!?」
いつもの姿とは打って変わって声を荒らげて、私たちの肩を持ってそう言った薫さん。「本当に、無事で良かった」と泣きそうな声で言った。
「ここまではれおくんが連れてきてくれたから、ご飯は食べてる」
と瑞希が言えば、「月永くんが!?」と薫さんは怒りのような驚いたようなそんな声を発した。
「うん、おれが連れてきた」
「月永くん!!なんでそんなことしたの!せなっちだって零くんだってどれだけ心配してたか知ってたくせに、なんでそんなことが出来るの!?」
「…」
「連絡のひとつくらいしてくれれば、安心できたのに…!」
「それは、大人の事情だろ?」
「は?」
月永さんは冷めた目で、薫さんを見下ろしていて。月永さんの言葉を上手く処理できていない薫さんは、言葉が出ないようだった。
「だから、それは大人の事情だろ。今回、おれは子供たちの意見を尊重しただけ。もちろん、セナにもレイにも悪いと思ってるけど」
「子供たちの意見を尊重したって、それでもっ、連れて帰ってくるのが大人の仕事じゃないの?」
「中学生の子供を無理矢理連れて帰ってどうするんだ?小さい子供じゃないんだよ、もう。家出を決意するくらいメンタルやられてるのに、そんなのいつか壊れるだけだ」
「…」
悔しそうに噛み締めた薫さんは、「っ、零くんとせなっちには俺から連絡するからね!?」とスマホを開いた。
.
449人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時