episode.81 ページ35
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それから、何かを決意したのか、色々腑に落ちたのか、顔つきが変わった瑞希は、「俺、この舞台に立つ、必ず」と言った。
「わはは!セナを超えるのか〜!あの努力馬鹿を超えるのは難しいぞ〜!」
「はあ!?俺の事応援してるの!?してないの!?」
「してるしてる!!大丈夫!おまえなら出来る!」
月永さんは、わしゃわしゃと瑞希の頭を撫でた。満更でもなさそうな顔をした瑞希は「撫でるなっ」と言いながらも嬉しそうだった。
*
「この後どうするのぉ?」
イベントが終わって、会場を後にした私たちは、これからやることなんてなかった。しかも、ここに何があるのかも分からなかった。
「ん〜?帰るのも勿体ないし、遊ぶか!わはは!」
「ちょ、れおくん勝手にどっか行かないで!れおくん居なくなったら俺たちまじで死んじゃう!!」
それから、海外の珍しいご飯を食べたり、洋服を買ったり、観光名所を回ったりして、とっても楽しんだ。何もかもを忘れられた感じがして、ただただ楽しかった。
近くのホテルに泊まった時も、月永さんの面白エピソードを聞いたり、即興ソングを歌ったり、月永さんが瑞希をからかってるのを見たり、本当に楽しかった。
何日も何日もそんな日が続いて、いつの間にか1週間ほどが経っていた。色んな国に行って、色んな人に会った。月永さんって人脈が広くて、本当にすごい人だった。
そんなある日。ホテルで寝転がってる時。
「俺、日本に帰ってもいいかも」
「…え」
瑞希がそんなことを言った。
「やだ、やだ!私は帰りたくない!なんでそんなこと言うの!」
「なんでって……。そろそろ帰った方がいいのかなって思って」
「帰らなくていいよ!私は、帰りたくない!ね、瑞希、私とこのままずっと一緒にいてよ。私は瑞希の味方でいるって決めたんだから、瑞希も私の味方でいてよ……!」
私が、瑞希の肩を持ってそう言えば、「う、うん」と首を縦に降ってくれた。それにひどく安心した。
「なぉ、A。ひとついいか?前も言ったけど、おまえはおまえが思ってる以上に愛されてるよ」
「……。私、明日はここに行きたいです!」
月永さんの話を無視して、そう言えば、「いいぞ」と優しく笑った。
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時