episode.77 ページ31
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「おまえら、こんな所でなにしてるんだ?」
その一言で私たち2人とも固まったのがわかった。瀬名くんを見れば、見つかりたくない人に見つかってしまった、という顔をしていた。
「っ、…れおくん」
「嫌だ。帰りたくない」と小さく言った瀬名くんは、私の手を取ってずんずんと先を進み始めた。
「おい、待てよ、ミズキ。逃げるな。ここで何してるのかって聞いてんだよ。セナもレイも心配してるんだぞ」
「れおくんには関係ないでしょ」
「関係なくはないだろ。おまえは、おれの大切なセナの息子で__」
「だから、それが関係ないって言ってんのぉ!!!」
「!!」
足を止めて、振り返った瀬名くんは泣きそうな声でそう叫んだ。
「あんたはいっつもそうだ!セナセナセナセナ、うるさいんだよ!俺のことなんて見てないじゃん!おまえが興味あるのは、俺じゃなくて『瀬名泉』だろ!俺のことなんて放っておいてよ!」
「...」
黙ってしまった月永さんは圧が凄かった。それに怖気づかない瀬名くんもすごいと思った。
「おまえは何がしたいんだ?体調悪い女連れて、どこに行くつもりなんだ?自分のことでいっぱいいっぱいになってるくせに無理に何かを守ろうとするな」
「...っ」
体調悪い女って私の事...?なんでこの一瞬でそんなこと見極めたの...?
「っ、パパに言いたいなら言えば!?でも、俺は絶対に家には帰らないから!」
「おまえを連れて帰らないと、意味ないだろ」
「俺は帰らないって言ってるの!!」
「だからっ、」
「ストップ!!!」
私が2人の言い合いを止めた。
「...おまえはどうしたいんだ?」
「私は、月永さんの意見には賛成出来ません。私は
「それでは、お元気で」と今度は私が瑞希の手を取って前を歩き始めた。
すると、「はああああ...」と大きなため息が聞こえた。
「あ〜...、わかったわかった。おれの負けだ。」
「「?」」
そう言って手をひらひら掲げた月永さんは、何を思ったのか自分の携帯を海に投げ捨てた。そう、海に投げ捨てたのだ。
「は!?」
「ちょ、れおくん、なにやってんのぉ!?」
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時