Bloody Connection 2【朔間零】

episode.59 ページ13

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最近、あいつは忙しそうにしてた。モデルの仕事で午後から登校してきたり、午前中から人の頼みを聞いていたり、お昼休みまで走り回ってる始末。今までお昼は俺とお弁当を食べていたのに、あいつが忙しそうだから、俺は1人でご飯を食べる派目になってる。





それに、俺と違ってあいつは望まれてる。色んな人から期待されている。平凡な俺とどうして一緒にいてくれるのか分からない。前まで俺の方が先輩で、実力も上だったのに、いつの間に追い抜かされた？追い抜かされたって気づかないほど、早すぎた。あいつは、俺と違って『天才』なんだ。





どこかで聞いたよ。『平凡な人間がどんなに努力しても才能がある人間には勝てない』って言葉。俺は他の人に比べて才能があると思ってた。でも、あいつに出会ってそれは違うってことが分かった。俺は『平凡』な人間だ。才能なんてない。





悔しい、ずるい。俺が一生懸命頑張って貰った仕事を一瞬で貰って。自分の努力が馬鹿らしく感じる。俺はどれだけ頑張っても『瀬名泉の息子』。その殻を破ることなんて出来ない。





でも、俺の事を『瀬名瑞希』として見てくれているのもAだけなんだ。Aだけは俺の事を「すごいね」って、「かっこいいね」って褒めてくれるんだ。パパのこと関係なく。





今日もAは、女子に絡まれていた。綺麗な顔に隈を作ってまで働いて、それを感じさせないように無理して笑ってる。やめてよ、あんたがそんな無理する必要ないんだよ。





「あのさ、Aのこと、ちょっと借りてもいい？」





俺がそう声をかけたら、Aは目を見開いて驚いた顔をして、でもすぐに嬉しそうに笑うんだ。バレちゃうよ、困ってるってこと。





その後、屋上までAの手を引いて、隣に座らせて。





「あんた、痩せすぎ。ちゃんとご飯食べてるの？」




あんたのこと、心配してるんだよ。もっと話したかったんだよ。なんで俺に何も相談してくれないの？俺はあんたの友達でしょ。辛いなら辛いって言ってよ。




「ちゃんと寝てるの？」




俺だって、Aぐらい忙しくなりたいよ。仕事でも求められて、友達からも求められて、親からも求められて。俺とは大違いだ。羨ましい。そこの席を俺に譲ってよ。





「あんたは俺と違って『天才』なんだから、それくらいできるでしょ」





俺はAの顔を見て、今の言葉をひどく後悔した。





___________俺に失望した顔だった。






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