それくらい知ってます。【歌い手】 (ページ12)

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11話ページ12

夢主side

｢A、一緒に帰ろ！｣

『ごめん、今日彼方先輩が迎えに来るの。』

｢A！土曜に映画行かない？｣

『ごめん、その日はデートなの。』

あれから、真冬になにに誘われても、彼方先輩を理由に全て断るようにしていた。

これも、先輩の計画だ。

真冬は日に日に私を誘うのをやめるようになった。

先輩にそれを気にしてやめたら元も子もない。
と言われ、ぐっと堪えた。

真冬は前にも増して女遊びをするようにもなっている気がした。

まるで、

私がいた場所を埋めるかのように。

登下校も他の女の子が隣を歩くようになっていたし、私が断った真冬とのデートは他の子を連れて行っているようだった。

______真冬、私がいなくても全然大丈夫そうじゃん。

やっぱり、真冬は私のことなんかこれっぽっちも好きじゃなかったんだよ。

嫉妬してくれるんじゃないかなんて。
自意識過剰なうえに、期待のしすぎだ。

なんて自分は馬鹿だったんだろうか。

___もっと早く気づいていれば、こんなに傷つかなくて良かったはずなのに。

気がつけば視界が歪み、暖かい雫が頬を伝っていた。