正しく歪み始める ページ19
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「A」
部屋のノックとともに現れた私と同じ髪の色
わたあめのようにふわふわとしていて頼りなさそうに見えるが大好きな人
『お兄ちゃん!』
パタパタと突進すれば難なく受け止めてくれる
意外に鍛えてるらしい。知らんけど。
『帰ってきてたの?連絡してくれれば空港まで行ったのに』
「ごめんごめん。急に帰れることになったから驚かせたくて」
私の兄はとある企業に務めており今は海外の本社にいるため中々会えない
時々こうやって帰ってきてくれるからいいんだけど。
「ほら、お土産あるよ」
『やったー!お茶いれるね!』
この間紫乃くんから美味しい茶葉を貰ったからそれを開けちゃおうかな
いそいそとお湯を沸かす。
「学校は楽しい?」
『うん、とっても楽しいよ』
以前兄にも迷惑をかけてしまったからできるだけ心配をかけないように笑顔をつくる
あの事件があってから更に警備が強化されたらしい
あんずちゃんにも被害が及ばないようにしないとね。
「そっかー、それならいいんだけどさ」
あ、これ見ていい?と机の上に置きっぱなしにしていたユニットの資料を手に取って首を傾げているので承諾をした。
別に見られて困る資料ではないから。
おおっと、零れる。
「うわ〜、流石アイドル〜顔面偏差値高い」
カップとソーサーを渡せばお行儀よく資料を置いて喉に通す。
こういう所はきちんとしてるな。
『あ、ほら見て!このユニット!』
「ん〜?……な、Knights?」
『そう。この人覚えてない?あの時助けてくれた凛月くんだよ!』
とんとん、と指で黒髪のあの人を示す。
貼ってある写真はこちらに微笑む彼が他のメンバーに背中を預けている。
当時のことを思いだしてニコニコとしていると兄の口からとんでもない言葉が聞こえた。
「お前を助けたのこの人じゃねぇぞ」
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多趣味のM(プロフ) - え、続きはないんですか??めっちゃ気になります (2021年9月5日 11時) (レス) id: f8e0dd5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイスてぃー。 | 作成日時:2019年4月5日 21時