ミラー・ツインズを守りたいんです

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「綺麗だね」
「ああ、そうだな」



圭吾がうっとりと呟いて、それに勇吾が応える。
俺は花火の明かりを感じながら、それよりも綺麗なものから目を離せずにいた。



「…っ…ぅん…、…すっげー綺麗…っ」



穏やかな顔で笑う、ただそれだけの事が…言葉にならないほどに嬉しくて。
一滴だけ零れた涙は勇吾の温かな指がそっと拭っていった。



「あ、ひろ感激してる？ふふっ、三人で来れてよかったね」



上空を見上げると横から圭吾の楽しそうな声。
えへへ…と笑うと、圭吾は頭をポンポンと撫でてくれた。



「来年も…また三人で来たいな」
「そうだね。来年も再来年も、ずっと一緒に見たいね」
「あぁ…、そうだな」



来年の約束に、この双子は当たり前のようにずっとと言う。
もう…俺だけ幸せ貰ってばっかりだ。



「勇吾、圭吾っ」
「っ？」
「わっ」



二人の腕に絡みつくように密着する。
驚く二人にとびきりの笑顔で言った。



「大好きっ」



圭吾は嬉しそうに俺もだよと笑って、勇吾は僅かに顔を背けながら俺だって…と呟いた。



「あー、勇吾が照れてるー。ふふっ、かわいい」
「あ、ほんとだ。勇吾勇吾、俺も勇吾のこと大好きだよ」
「んなっ、…うっせー」
「あはははっ」
「ふふっ…」
「〜〜っ、俺も…っ、お前らまとめて大好きだっ…」




勇吾が笑っている。
それだけでこんなにも、圭吾と俺は安心する。

それは２０年前起きたあの誘拐事件が根底にあるせいだ。
勇吾が魘される度、圭吾が悔しい顔をする度、俺は忘れてはならない。



事件の主犯が俺の義理の父親だったことを──



罪の意識は消えない。
勇吾のトラウマも、圭吾の歯がゆさも、この先消えることはないだろう。



それでも……







「宏光」
「ん？…わ、えっ、俺に？」
「さっき買った」
「わぁ…」
「風車なんて子どもっぽいからやめなって言ったんだけどね」
「ううん、すごい嬉しい。…ありがとう勇吾」



カラフルな彩りの羽根にふぅ…っと息を優しく吹きかける。
クルクルと回る風車に何故だか目を離せない。



「きれい…」



俺の小さな呟きに、二人の優しい微笑みが重なった。









それでもこの関係が成り立っているのは俺ら三人が、身に染みているからだ。
俺が双子のことを、双子が俺のことを、とても大事に想っているということを…。

もう離れたくない。離れられない。
ずっと一緒に生きていきたい。



だって俺たちは、かけがえのない大切な家族なんだ。






fin

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