ミラー・ツインズを守りたいんです

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注文していたカクテルとチーズたちが届き、ひろはうわーっと感嘆の声を上げた。



「美味しそう…！」
「ふふ、ひろほんとチーズ好きだよね」
「うんっ、大好きっ」



ぷるぷるの唇が大きく開き、パクッとチーズが放り込まれる。
お上品な食べ方とは少しだけ異なるけれど、ひろのこうやって口いっぱいに頬張って美味しそうに食べる仕草が昔から好きで、自分が食欲無いときなんかでもひろの食べているところを見るとついつられて食欲が出てきたりする。

ひろの元気な姿を見ていると、俺ら双子はそれだけ元気になれるんだよ。



「んむ…っ…け…ごも…んぐ…たべなよ」
「…飲み込んでから喋ろうね」
「ふぁ？」



うん…、ちょっとお行儀が悪くなっちゃうのは俺らの前でだけだと信じよう…。



程よくお酒を呑み進め、俺は明日に響くと困るからとノンアルコールのメニューを眺めていた。
静かだなと目の前のひろに目線を移すと、いつからだったのか目がとろんとしていた。



「ひろ、大丈夫？」
「んぅ…？なにがぁ？」



家で呑むときはそんなに酔わないから心配していなかったけど、こういう店で出されるカクテルは比較的度数が強めのものばかりという感覚をすっかり忘れていた。
ほんのりと頬を赤らめてバーカウンターをジッと見つめ、勇吾かっこいい…と呟き始めた。



「…お水貰おうか、そろそろ帰ろう」
「え、やだっ」
「やだって…って、ちょっと…っ」



ふらふらと席を立ち上がり、カクテルグラスを持ってカウンターに近づくひろを慌てて追いかける。
空いている席にガタンと座るひろに、シェイカーを振っていた勇吾の手が一瞬止まった。

ひろと俺に視線を寄越した後は何事もなかったかのように再びシェイカーを振り、グラスに注いで客に出し終えたところで勇吾はカウンター越しにひろの目の前に立った。



「えへへ…ゆーご」
「圭吾…、お前がついていながら…」
「面目ない…」



言い訳の仕様も無かったから素直に謝った。
ひろは好意を隠そうともせず、カウンターにくてっと身を預けながら熱い眼差しで勇吾を見上げている。
勇吾は困ったように笑い、優しくひろの頭をくしゃっと撫でた。



「今日はもう帰れ」
「やだ、ゆーごとかえる」
「俺と？でもまだラストまで二時間以上…」
「まってるもん」
「……」
「めーわくかけないよ？おとなしくしてる」



いいでしょと見上げる瞳にやれやれと溜め息を吐いて、勇吾は俺に視線を向けた。

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