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頻繁に、こんな風になる訳じゃない。
年に一、二回…忘れた頃に不意にやってきては、一人じゃどうにもできない不安定な感情に押し潰されそうになる。
それでも一人で耐えるしかなくてギュッと目を瞑って震える自分の身体を抱きしめながら朝を迎えることがほとんどだけど、今日はどうしようもなくて勇吾に頼ってしまった。
「…っ」
「……」
「っ！？わっ…何々っ！？」
この状況が気まずくて何か喋らなきゃって思うのに、あまりにも取り乱している自分が気恥ずかしくて項垂れている頭を上げられなくて、さてどうすればいいのだろうと思いを巡らせていると、不意に頭を鷲掴みにされ髪をぐしゃぐしゃとかき乱された。
「何すんだっ…」
「何が？」
「わっ、やめろって…っ」
抵抗虚しく好き勝手乱される髪に睨む事で対抗するも、全然怖くないと鼻で笑われる始末。
同じ顔なのに何で俺は凄みのある表情が出せないのかと不満げに目の前の顔を見据えると、勇吾はフッ…と表情を和らげ俺をぎゅっと抱きしめた。
「へっ！？」
「……」
「ゆっ、勇吾っ？」
ギューって効果音が付くみたいに、力強く抱きしめられる。
トクン…トクン…と、合わさった胸から勇吾の心臓の鼓動が移ってくる。
勇吾が生きてる。
確かな事実に、どうしようもなく泣きたくなった。
涙腺が滲み始める前に体温が離れていく。
泣き出す寸前みたいな顔を慌てて引っ込めると、頭上からため息ひとつと柔らかな感触が続け様に二回降ってきた。
頭を撫でられたのだと認識した途端、耳の裏がカッと赤くなるのを感じた。
「…忘れちまえよ」
「え？」
「そんな大昔の事なんて、忘れろって」
「っ…」
「俺はもうとっくに忘れた」
今はもう断片的な事しか覚えてねぇよと苦笑して、先ほどまで読んでいた漫画に手を伸ばした。
宏光が帰ってきたら感想聞かせろって煩いからなと言いながら再び回転椅子に座り、視線はすっかり物語の中だ。
急に話が終わって所在なげに座り込んでる俺に目はくれず、やっぱりお前も読むかと続きの本を渡してくる。
「…二巻からとか、読まないよ」
「フッ、だよなぁ」
シッシッと軽くいなされて、そのまま部屋を出た。
パタンとドアを閉め、けれどそこから動く気になれず背中をつけたまま項垂れる。
『俺はもうとっくに忘れた』
「……うそつき」
見えない悪夢の終わりから少しだけ救い上げてくれたものは、不器用な抱擁と残酷なまでに優しい嘘だった。
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絢音(プロフ) - こっちゃんさん» こっちゃんさん♪宏光も圭吾も、大好きをまっすぐ勇吾に伝えるというのを大事にして創ったので、そう言ってもらえて嬉しいです(^^)わぁ！お心遣いもありがとうございます！今書くのが楽しい時期になってるので、また次作に向けて楽しく書いてます(^^)♪ (2021年2月11日 23時) (
レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - のこさん» のこさん♪お久しぶりです(^^)おや、更新通知が？青い鳥でもほぼリアルタイムでお知らせしてるので気づいてもらえて嬉しいです♪始めから読んでくれたんですね！嬉しい♪3人のその後の話なども、またいつの日にか…。それまではここの3人にまた会いにきて下さいね♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - つーちゃんさん» つーちゃんさん♪ふふ、ずっと読ませて下さいと言われたすぐ次に完結させてしまった何とも悪いタイミングの悪さに若干気まずくなっております(￣∀￣)笑。でも終わらないでーって、すっごく嬉しかったですよ♪またいつでも双子と宏光に会いにきてやって下さいね(^^) (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» これからきっと、辛いよりも楽しくて幸せな何気ない日常がたっくさん訪れるはずですね(^^)あ…ふふ、風車♪それだけはどうしても取り入れたくて、一番美味しいとこどりでラストに持ってきちゃった(*ﾟ▽ﾟ*)大好き大好き言い合う3人まるっと抱きしめてあげたい…っ！！ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 赤い浴衣の別嬪さんには私ならただでからあげあげちゃうし逆ナンもしたくなっちゃう♪楽しく書けた描写でした(^^)宏光視点でのあの日語りをラストに放り込む事でまたハッピーだけでは終わらない締め方になってしまいました(*ﾟ▽ﾟ*)笑。でも愛情たっぷり注いだよ♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絢音
| 作成日時：2020年3月18日 19時
