見栄っ張り ページ19
16、見栄っ張り
side圭吾
今日はひろが遅番で、勇吾も帰りは深夜過ぎるから、久しぶりに一人の夜を過ごしている。
先日大きな事件を解決してからは特に目立った問題も無く、リビングで雑誌を広げながらゆったりとした時間を過ごしていた。
「…ん?」
玄関を開ける音が聞こえて時計に目を移すとまだ21時…、二人とも帰ってくるには早い時間だ。
不思議に思いながら廊下を注視していると、見慣れたシルエットが近づいてドアが開いた。
「勇吾、おかえり。早かったね」
「……」
「勇吾?」
勇吾は何も言わず壁に凭れかかってぼんやりと俺を見ている。
何だか様子がおかしくて立ち上がり近づくと、原因が分かった。
「勇吾、こっち座って」
眉を寄せて喋らない勇吾の肩を優しく抱くとフラッと俺に凭れてきた。
ソファーに座らせて体温計を取りに行く間も随分とぼんやりしていて、見た目以上に体調が悪いのかもしれないと察した。
「はい、熱はそんなにないみたいだけど…」
「……」
気怠い感じでソファーに沈み込む勇吾が心配で目を離せずにいると、鬱陶しそうに睨まれてしまった。
正直そんな状態で凄まれてもちっとも怖くないけど、不調の上さらに苛つかせては気の毒だと思い直し、ソファーの下に座り途中だった雑誌に目を向けた。
ピピピ…と音が鳴って、隠そうとするのを奪いとって数値を確認する。
舌打ちが聞こえて苦笑しながら、そんなに高くない数値に安堵した。
「よかった…。あ、でも勇吾平熱低めだからしんどいか…」
辛いと訊ねながら額に手を当てようと近づけると、嫌がるように顔を背け立ち上がった。
「勇吾?」
「……風呂」
「え、でも…平気?」
「こんなのは熱の内に入らない」
「ぐったりしてたくせに」
「……」
ジトっと胡乱な目を向けられたが、少し休んで落ち着いたのか足取りはしっかりしていたから、まぁ大丈夫かなと見送ってしまった。
勇吾は昔から我慢強くて、俺らに悟られないようにするのが上手だったことに気づいたときには、もう遅かった…。
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絢音(プロフ) - こっちゃんさん» こっちゃんさん♪宏光も圭吾も、大好きをまっすぐ勇吾に伝えるというのを大事にして創ったので、そう言ってもらえて嬉しいです(^^)わぁ!お心遣いもありがとうございます!今書くのが楽しい時期になってるので、また次作に向けて楽しく書いてます(^^)♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - のこさん» のこさん♪お久しぶりです(^^)おや、更新通知が?青い鳥でもほぼリアルタイムでお知らせしてるので気づいてもらえて嬉しいです♪始めから読んでくれたんですね!嬉しい♪3人のその後の話なども、またいつの日にか…。それまではここの3人にまた会いにきて下さいね♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - つーちゃんさん» つーちゃんさん♪ふふ、ずっと読ませて下さいと言われたすぐ次に完結させてしまった何とも悪いタイミングの悪さに若干気まずくなっております( ̄∀ ̄)笑。でも終わらないでーって、すっごく嬉しかったですよ♪またいつでも双子と宏光に会いにきてやって下さいね(^^) (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» これからきっと、辛いよりも楽しくて幸せな何気ない日常がたっくさん訪れるはずですね(^^)あ…ふふ、風車♪それだけはどうしても取り入れたくて、一番美味しいとこどりでラストに持ってきちゃった(*゚▽゚*)大好き大好き言い合う3人まるっと抱きしめてあげたい…っ!! (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 赤い浴衣の別嬪さんには私ならただでからあげあげちゃうし逆ナンもしたくなっちゃう♪楽しく書けた描写でした(^^)宏光視点でのあの日語りをラストに放り込む事でまたハッピーだけでは終わらない締め方になってしまいました(*゚▽゚*)笑。でも愛情たっぷり注いだよ♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2020年3月18日 19時