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「勇吾…?」



顔を覗き込もうとした瞬間、キツく抱きしめられた。



ぎゅうっと音がなりそうなくらい隙間無く抱き寄せられて、よかった…と小さな呟きが耳に届く。

もしかして、勇吾の見ていたであろう嫌な夢と何か関係があるのかも知れない。
だったらこのまま、落ち着くまでされるがままでいようと思った。



「大丈夫だよ勇吾、俺は元気だからさ」



お前をそんなにさせるほどの悪夢はどんな夢だった?



知りたかったし、話してほしかった。
だけど好奇心に駆られ軽い気持ちで聞いてしまったら今度こそ勇吾の心が壊れてしまいそうな気がした。



「…あぁ、そうか」
「うん。そうだよ」



噛み締めるように呟いた後、ゆっくりと拘束されている腕が解かれた。
間近で見る目はうるんでいて、頬を包むとやっぱりまだ熱いままだった。



「勇吾は?どっか痛いとこある?」
「平気だ、少し頭痛するくらい」
「頭痛いか…しんどいね」



これだけ熱かったら頭痛いはずだよなと優しくこめかみの辺りを摩ると、勇吾は小さく笑った。



「なに?」
「そんな顔すんな、言うほど重病人じゃねーし」
「いや、めっちゃ重病人だからな?」
「もう寝てりゃ治んだろ」



そう口にする通り、感じる熱ほど顔色は悪くなさそうだった。
もう一度アクエリを飲ませてから身体を横にさせると苦笑しながら見上げてきた。



「寝てりゃ治るとは言ったものの、さすがに寝過ぎてもう寝れそうにないな」
「横になって目閉じてれば眠れるよ」
「そうか。…なぁ、宏光」
「んー?」



勇吾は何か言うのを躊躇っている。続きを静かに待っていると、言い辛そうに口を開いた。



「…俺が眠れるまで、いてくれるか?」



まだいてほしいとさっき言われたかわいいお強請りと大差ないのに、今度は何故か胸がギュッと締め付けられる思いがした。



「うん、側にいるよ。だから安心して眠って」
「…さんきゅ」
「おやすみ、勇吾」



どうかもう…君を苦しめる悪夢が襲いかかりませんように。
祈るような思いで唇を寄せると、優しい温もりが俺を包んだ。







.

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設定タグ:藤北 , キスマイ , ミラー・ツインズ   
作品ジャンル:タレント
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絢音(プロフ) - こっちゃんさん» こっちゃんさん♪宏光も圭吾も、大好きをまっすぐ勇吾に伝えるというのを大事にして創ったので、そう言ってもらえて嬉しいです(^^)わぁ!お心遣いもありがとうございます!今書くのが楽しい時期になってるので、また次作に向けて楽しく書いてます(^^)♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - のこさん» のこさん♪お久しぶりです(^^)おや、更新通知が?青い鳥でもほぼリアルタイムでお知らせしてるので気づいてもらえて嬉しいです♪始めから読んでくれたんですね!嬉しい♪3人のその後の話なども、またいつの日にか…。それまではここの3人にまた会いにきて下さいね♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - つーちゃんさん» つーちゃんさん♪ふふ、ずっと読ませて下さいと言われたすぐ次に完結させてしまった何とも悪いタイミングの悪さに若干気まずくなっております( ̄∀ ̄)笑。でも終わらないでーって、すっごく嬉しかったですよ♪またいつでも双子と宏光に会いにきてやって下さいね(^^) (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» これからきっと、辛いよりも楽しくて幸せな何気ない日常がたっくさん訪れるはずですね(^^)あ…ふふ、風車♪それだけはどうしても取り入れたくて、一番美味しいとこどりでラストに持ってきちゃった(*゚▽゚*)大好き大好き言い合う3人まるっと抱きしめてあげたい…っ!! (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 赤い浴衣の別嬪さんには私ならただでからあげあげちゃうし逆ナンもしたくなっちゃう♪楽しく書けた描写でした(^^)宏光視点でのあの日語りをラストに放り込む事でまたハッピーだけでは終わらない締め方になってしまいました(*゚▽゚*)笑。でも愛情たっぷり注いだよ♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絢音 | 作成日時:2020年3月18日 19時

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