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今でもたまに夢を見る。
20年前…双子の兄である勇吾が、黒ずくめの三人組に車で連れ去られていくところを。
現実では勇吾は数日後に警察に保護されてちゃんと家に帰ってくるのに、夢の中では勇吾はそのまま帰ってこなくて20年間も行方不明のままなんだ。
もう、誰も勇吾が生きているなんて思わない世界で、俺一人だけが勇吾の帰りをずっと待ち続けている。
途方もない罪悪感を背負いながら。
そんな暗くて怖い世界…、どうしてそんな事態になったのか…
それは、夢の中の俺がどうしようもない臆病で、勇吾が連れ去られた時に逃げたからだ。
それだけじゃない、現場を見ていたのに犯人の情報を誰にも話すことができなかった。
だって話せば、今度は俺が連れ去られてしまうかもしれないって怖かった。
だから俺は…大事な大事な片割れを──…
「……いご…、……圭吾ってば」
「っ…、え…?」
「もぉ、どうしたのそんなぼーっとして。俺の話聞いてた?」
ハッと我に返るとひろが頬を膨らませて拗ねていて、勇吾は黙って俺を見据えていた。
…そうだ、あれは夢なんだ。こっちが現実。
勇吾も、ひろも、一緒にいる。
こうやって朝ご飯を一緒に食べて、それぞれ仕事をして、同じ家に帰ってきて、笑ったり怒ったりたくさんの時間を共有して、おやすみって言って翌朝またおはようって言って、そんな当たり前の日常を過ごしているはずなのに、たまにそんなものは全部俺の見ている長い長い夢なんじゃないかって疑ってしまう。
どうして俺はこんなにも、同じ悪夢に囚われてしまうのだろう。
ひろが話してくれている内容に適当に合わせるように相槌を打ちながら勇吾にも目を向けると、もう俺のことは見ていなくてひろの作った料理に夢中になっている。
俺は、そんな勇吾から目を離せずにいた。
ひろが仕事に出かけて勇吾と二人きり。
俺は洗濯と掃除機をかけながら勇吾の部屋のドアを何度見つめただろう。
…こんなに静かで、ちゃんと部屋にいるのだろうか。
「…っ、勇吾っ」
不安で堪らなくてリビングから名前を呼ぶと、音がしてゆっくりとドアが開いた。
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絢音(プロフ) - こっちゃんさん» こっちゃんさん♪宏光も圭吾も、大好きをまっすぐ勇吾に伝えるというのを大事にして創ったので、そう言ってもらえて嬉しいです(^^)わぁ!お心遣いもありがとうございます!今書くのが楽しい時期になってるので、また次作に向けて楽しく書いてます(^^)♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - のこさん» のこさん♪お久しぶりです(^^)おや、更新通知が?青い鳥でもほぼリアルタイムでお知らせしてるので気づいてもらえて嬉しいです♪始めから読んでくれたんですね!嬉しい♪3人のその後の話なども、またいつの日にか…。それまではここの3人にまた会いにきて下さいね♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - つーちゃんさん» つーちゃんさん♪ふふ、ずっと読ませて下さいと言われたすぐ次に完結させてしまった何とも悪いタイミングの悪さに若干気まずくなっております( ̄∀ ̄)笑。でも終わらないでーって、すっごく嬉しかったですよ♪またいつでも双子と宏光に会いにきてやって下さいね(^^) (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» これからきっと、辛いよりも楽しくて幸せな何気ない日常がたっくさん訪れるはずですね(^^)あ…ふふ、風車♪それだけはどうしても取り入れたくて、一番美味しいとこどりでラストに持ってきちゃった(*゚▽゚*)大好き大好き言い合う3人まるっと抱きしめてあげたい…っ!! (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 赤い浴衣の別嬪さんには私ならただでからあげあげちゃうし逆ナンもしたくなっちゃう♪楽しく書けた描写でした(^^)宏光視点でのあの日語りをラストに放り込む事でまたハッピーだけでは終わらない締め方になってしまいました(*゚▽゚*)笑。でも愛情たっぷり注いだよ♪ (2021年2月11日 23時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2020年3月18日 19時