film8 逆転勝利 ページ9
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灰崎なら届く。それを見越した上で放たれたミスキックにも見えた鬼道のパス。
完全に互いを信頼し合う新たなる星章学園の連携に、木戸川清修は押され始める。
「デスゾーン開始」
灰崎が呟くと、折緒、佐曽塚の2人も飛び上がり、ボールを順番に蹴りあげ、エネルギーを貯める。
「デスゾーン!」
紫の巨大なエネルギー玉とも言えるシュートは、ゴールキーパーごと吹き飛ばし、ゴールに突き刺さった。
「ゴール!」
シュートが決まると同時に鳴り響いたホイッスルの音。電光掲示板に、3対4と示されたのを見て、現実を理解したAと春奈は、喜びのあまり立ち上がると、大きく飛び跳ねた。
「やったー!Aちゃん、勝ったよ!?」
「ええ、本当に良かったわ!」
今日何度めかも分からない笑顔を向けあうと、嬉しそうに微笑みあう春奈とA。
それと同時に、フィールドでは星章学園の面々も互いに喜びを分かちあっていた。
今回の試合のMVPは、もちろん灰崎凌兵であった。
本人は興味なさげにしていたが、顔は素直なのか、口元には笑みが浮かんでいた。
たくさんの歓声を背中に浴びながら、灰崎はゆっくりとベンチに戻ってきた。
「灰崎くん!」
各々がチームメイトと祝福を交わしあい、互いの健闘を労う中、Aは真っ先に灰崎の元へと駆け寄った。
耳に飛び込むいつもより弾んだその声に、灰崎は頬が緩むのを隠しながら、素っ気なく顔を上げる。
「何だよ」
灰崎が問いかけるが、Aはあえて言葉は交わすことなく、黙って拳を突き出す。
恒例になりつつあるそれに、灰崎は思わず笑みを零すと、白い拳に自身の拳をコツンと優しくあてた。
「やったじゃん、MVP」
「どーも」
からかうようにAがニヤニヤとしながら言えば、灰崎は目を閉じたまま、興味なさげに答える。
けれど、何だかいつも通りのこのやり取りに何故か懐かしい気持ちになってしまう。
今思えば、今日はAの人生の中でもかなり波乱万丈な1日だっが、今思えばそれも何だかいい思い出のように感じてしまう。
「何ニヤついてんだよ」
「うん、嬉しくて。星章学園が勝ったのが」
「なっ!?」
思わず笑みを零したAに灰崎が突っ込めば、彼女は恥じらいもなく微笑みながら答えた。
あまりに素直な彼女の言葉に、灰崎はわかりやすい程顔を赤くするが、Aは目をぱちぱちとさせ、悶えている灰崎を不思議そうに見上げる。
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シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます!水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です!せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。( ̄^ ̄ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sirona | 作成日時:2019年2月28日 20時