第9話 仙石忍side ページ10
A殿が死んでから世界は変わった。
隊長殿も衣更殿もとても浮かない顔をしている。
拙者は情けない。
そんな2人を見て泣く事しかできない。
この学校は終わってしまった。
また逆戻りだ。あの頃と。
「A殿……」
学校のどこへいてもあの頃の、楽しかった思い出が蘇る。
今はそれがとても辛い。
もう2度とあの頃は戻らない。
もう2度とA殿には会えない。
伝えられない。
この気持ちも。なにもかも。
また涙が溢れた。
止まれ、止まれそうどんなに思っても溢れて止まらない。
次第に泣き声は強くなる。
いっそ思い切り泣いてしまおう、そう思って誰も来ないような空き部屋で泣いた。
こんな目をして行ったらユニットと皆は驚くだろうか。
いや、大丈夫。もう拙者が目を腫らしていくのは当たり前のようになっているから。
色々、考えた。A殿の事。自分の気持ち。ユニットの事。
そう言えば翠君はずっと来てない。
少し心配になる。
今度鉄虎くんも一緒にお見舞いに行こう。
ちょっとずつ前向きになっていこう。
きっとA殿もそれを望んでいるから、そう思って立ち上がろうとした時
「やめるっす!!翠君!!」
鉄虎くんの叫び声が聞こえた。慌ててまだに身を乗り出すとそこには落ちていく翠君……
「………あ……」
震える声でそう言う事しかできなかった。
止まっていた涙は再び溢れ出した。
翠の体が地面に叩きつけられるまであと2秒。
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作者名:あんすた大好き
作成日時:2015年11月24日 17時