花の高校生 (ページ4)

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第3話衣更真緒side ページ4

Aが死んだ。

死因は出血多量。

腹に深々とナイフが刺さった状態で発見された。

Aの血が染み込んだアスファルトはまだ赤い。太陽の光を受けて気持ち悪いくらいに輝いてる。

犯人は未だ逃走中。

正直誰なのかも検討している途中らしい。

毎日のようにニュースで報道される。

俺は虚ろな目でそれを見つめる。

俺はあまり信じてない。

きっとこれは悪い夢で朝起きたら全て元どおりで、でも泣き叫ぶ皆を見てこれが現実なんだって痛いくらい実感した。

凛月はあれから、1度も眠ってないようだ。

葬式の時酷くやつれた顔で来てた。

他の奴らも。

遺影に写るAは苦しいくらい笑っていて。

死んだ筈なのに動き出すんじゃないかって思ってしまうくらい。

全部が、分からなくなって。

小さい頃からずっと。

ずっと一緒にいたのに。

なんでだよ……

俺はAとの写真をぐしゃぐしゃになるまで握り潰した。

修学旅行の時、浴衣を着て俺と凛月と3人で撮った写真。

ずっと、ずっと続くと思ってた。

ずっと一緒だと思ってた。

なのに……

俺はその日Aが死んでから初めて涙を流した。

声が枯れるくらい必死にAの名前を呼んだ。

でもどれだけ呼んでも、声は風にかき消されAの所には届かなかった。