第1話 守沢千秋side ページ2
お兄ちゃん、そう呼ぶ影はもう家中のどこを探しても見当たらない。
静まり返った家。
いつもならこの時間はAがいて、母が夕飯を作っていて、父が帰ってきて、家には団欒の明かりが灯っていた。
でも今は、俺以外誰もいない。暗くて寂しい部屋。
あの日、Aが死んだ日から少しずつ全てが壊れていった。
過労とショックで倒れた母。
精神的に追い込まれ仕事三昧な父。
どこにもいない。
もう戻らない。
あの日、俺が一緒に帰っていれば。
Aのことを1人にしなければ。
そうすれば何か変わったのだろうか。
そうすればAは生きていたのだろうか。
土砂降りの雨の中、俺が引きとめれば……。
すまない……すまない……
A。
Aの遺影に向かって謝る、それが最近の日課になりつつある。
明日、葬式以来初めて行く学校だ。
正直、誰とも会いたくない。
皆はどうしているだろうか。
Aは好かれていたから皆、泣いているのだろうか。
ああ、雨が降って来た。
あの日みたいに土砂降りになるかもしれない。
俺以外、この事を考えている人はいるのだろうか。
スマホを閉じて考えた。
そこにはたくさんの着信が来ていた。
17人がお気に入り
「あんスタ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんすた大好き
作成日時:2015年11月24日 17時